Title:マルい店とバツな客
年度:2023年
著者:日芸文芸学科 楊ゼミ
●プロローグ
猫らしく生きられない猫なんて私以外にこの世界で何匹いるのだろう。いつの間にか猫専用になって今は使われていないカウンターの一席に座りながら、私はそう考えていた。夕方から夜へと変わる時間になると、扉を開ける足音は疎になっていく。人の言葉ではこの場所を「喫茶店」と言うらしい。この店の店長(人がそう呼ぶので私もそう呼ぶ)が作るコーヒーという黒い飲み物やグラタンとかいうやたらと湯気が立つ白い食事に人が集まってくる。前にその黒い液体になんとなく口をつけようとしたら、店長に引き剥がされたことがあるので、あれはきっと猫には飲めない代物なのだろう。
店を行き交う足音が静かになると、古い木の匂いがする椅子やテーブルに音楽が降り落ちていく。この耳に妙な感覚を残す音の連なりが「クラシック音楽」というものであることも猫らしく生きていたら知りもしなかった。
私が猫らしく生きられないのは、全てこの喫茶店のせいと言っても過言ではなかった。この店で拾われてからというもの嫌というほど人の言葉を浴び、また数えきれないほどの人に触れられてきた。人の気持ちが移ったとまではいかないが、猫として生きるなら気にしなくても良いことを、妙に明らかにしたい気持ちになってしまう。極論を言えば猫は餌が食べられて、自身が傷付かなければなんでもいいわけだ。そのためにできることとすれば、餌出し役の従業員や店長に向かってにゃーにゃーと鳴いてやることくらいで、あとはたまに来る触ること目当ての客に向かってゴロゴロ言って、少しばかり餌にありつければそれでいい。
人の言葉も覚えたところでなんの利点もない。覚えたところで伝えることができないからだ。「私は撫でられたいのではなく餌をもらいたいのです」と口に出して伝えようとしても、喉に差し掛かった途端に言葉の輪郭がぼやけて、にゃーとかあーとかうおーんという情けない声になっていく。
店の窓の外を黒い野良猫が通り過ぎていった。一瞬目があったがこちらの立場を羨む暇もなく、細い身体を堂々と揺らして雑踏の奥に消えていった。あの野良猫は非常に逞しく猫らしい出立ちをしている。言葉や愛嬌なんてものの前に目の間の獲物をいかに狩るか、自身の縄張りをいかに保つかそれだけに頭が満たされている。その方が猫らしいと思う。だって大勢の猫がそうなのだから。
静かに扉が開いて、呼び鈴が鳴る「いらっしゃいませ」と店長の声が聞こえる。猫に猫らしいということがあるように、人にも人らしい何かがあるのだろうか。そう思うと気にせずにはいられない。この時間はうやうやとした喧騒ともほど遠く、一人一人の話に耳を傾けられる。ゆっくりと椅子から立ち上がって、客席から落ちてくる言葉を拾い始めた。
猫らしく生きられない猫なんて私以外にこの世界で何匹いるのだろう。いつの間にか猫専用になって今は使われていないカウンターの一席に座りながら、私はそう考えていた。夕方から夜へと変わる時間になると、扉を開ける足音は疎になっていく。人の言葉ではこの場所を「喫茶店」と言うらしい。この店の店長(人がそう呼ぶので私もそう呼ぶ)が作るコーヒーという黒い飲み物やグラタンとかいうやたらと湯気が立つ白い食事に人が集まってくる。前にその黒い液体になんとなく口をつけようとしたら、店長に引き剥がされたことがあるので、あれはきっと猫には飲めない代物なのだろう。
店を行き交う足音が静かになると、古い木の匂いがする椅子やテーブルに音楽が降り落ちていく。この耳に妙な感覚を残す音の連なりが「クラシック音楽」というものであることも猫らしく生きていたら知りもしなかった。
私が猫らしく生きられないのは、全てこの喫茶店のせいと言っても過言ではなかった。この店で拾われてからというもの嫌というほど人の言葉を浴び、また数えきれないほどの人に触れられてきた。人の気持ちが移ったとまではいかないが、猫として生きるなら気にしなくても良いことを、妙に明らかにしたい気持ちになってしまう。極論を言えば猫は餌が食べられて、自身が傷付かなければなんでもいいわけだ。そのためにできることとすれば、餌出し役の従業員や店長に向かってにゃーにゃーと鳴いてやることくらいで、あとはたまに来る触ること目当ての客に向かってゴロゴロ言って、少しばかり餌にありつければそれでいい。
人の言葉も覚えたところでなんの利点もない。覚えたところで伝えることができないからだ。「私は撫でられたいのではなく餌をもらいたいのです」と口に出して伝えようとしても、喉に差し掛かった途端に言葉の輪郭がぼやけて、にゃーとかあーとかうおーんという情けない声になっていく。
店の窓の外を黒い野良猫が通り過ぎていった。一瞬目があったがこちらの立場を羨む暇もなく、細い身体を堂々と揺らして雑踏の奥に消えていった。あの野良猫は非常に逞しく猫らしい出立ちをしている。言葉や愛嬌なんてものの前に目の間の獲物をいかに狩るか、自身の縄張りをいかに保つかそれだけに頭が満たされている。その方が猫らしいと思う。だって大勢の猫がそうなのだから。
静かに扉が開いて、呼び鈴が鳴る「いらっしゃいませ」と店長の声が聞こえる。猫に猫らしいということがあるように、人にも人らしい何かがあるのだろうか。そう思うと気にせずにはいられない。この時間はうやうやとした喧騒ともほど遠く、一人一人の話に耳を傾けられる。ゆっくりと椅子から立ち上がって、客席から落ちてくる言葉を拾い始めた。
執筆者: 管理人
| 2023/11/18 16:12
「いらっしゃいませ」
店長の声は誰に対しても、仄かに温かい。本当に温度があるわけではないけれど、人の声は猫の声と違う。感情の色合いが細かくて、それがきっと温度のように感じのだろう。
「あ、ルリちゃんじゃないかこんにちは」
オス。ではなく男性らしい低い声。猫の性別は体格や股の間の違いで判別しないといけない。しかし人はわかりやすい。
「店長〜〜〜!!!! 会いたかったです」
おおよそは声が高いか低いかだ。この身体が一瞬反応する高い声は女性だ。
「猫ちゃんかわいいねー」
「ルリ」と呼ばれた女性とは別の声。これも女性だ。二人目の女性はいつも一風変わった装いをしている。たまに店長は彼女の服のことを「制服」と呼んでいた。
「ちょっと待ってちょっと待って、優しく触って!」
制服の女性が床にいる私の頭を触る。冷たい。声なんかじゃなくて、しっかりと形のある温度だ。それなのに妙に心地よい場所を知っていて、少し気持ち良いのが悔しい。
「とりあえず二人とも、ご注文は?」
私から離そうと、店長が注文を取る。「え〜でも気持ちよさそうだし」と言いながら、手は離れた。
「ルリは〜、グラタン1つくーださい」
「ミルクたっぷりのコーヒーくださぁい」
ルリは制服姿の女性の注文を書き終えた店長に「今日もたくさん写真撮らないといけないんだから!」と言いつつバックから何かを取り出す。あれはスマホという。スマートフォンか携帯も同じだ。詳前から店長や多くの客が持っているから、知っている。一部の機能は遠く離れた相手と話すことだ。それ以外にも色々と使えるようだが、詳しいことは知らない。
「コーヒー、確か砂糖二つだったよね? かしこまりました」
「お願いしまぁす」
その会話を聞いていたのか、カウンター側で従業員が動いている。
「コーヒー古谷くん持っていって、ん。ありがとう」
「わぁい! コーヒーありがとうございまぁす」
その人の名前は古谷という。店長の名前は椎名という。もう少し何かついていた気がしたが、忘れた。本来猫は名前を覚える必要がないし、彼らにそこまで名前を必要とはしない。そんなことをしなくても、匂いや声で見分けられるからだ。
「古谷さんばっかり店長としゃべってズルい!」
「古谷くんはバイトだから仕方ないよ……」
そう言いながら店長は湯気が立つグラタンを置く。
「ありがとう〜店長」
そしてルリは取り出したスマホから紙が潰れたような音を鳴らし始めた。
「ちょっと、この猫邪魔なんだけ! 映り込まないでくれる!?」
その声は鋭くて冷たい。温度以上に感触のある声だ。
「あれえ? 猫ちゃんも飲みたいんですかぁ?」
「もう、どっか行ってよ!」
ひとまず彼女の視界から外れて、制服の女性の席へと歩く。
「ああ! 待って、マルに飲ませないで!」
私の口元にコーヒーのカップを注いできたのを店長がそう言って制した。
「でも飲みたそうじゃないですかぁ」
「待って待って、コーヒーは飲ませちゃいけないんだよ。ほら、マル怖かったね。カウンター座っていて」
時折、店長は私のことを「マル」と言う。でも猫にはやっぱり名前の必然性がわからない。だから反応も鈍くなってしまう。結局私は店長に両手で促されるまで、自分が移動すべきなのか分からなかった。
「えー、コーヒー飲むねこはちょっとカワイイかもぉ」
「ほらぁ、カワイイってこの人も言っているのにぃ」
二人に気押されて、店長は横分けの茶髪を掻く。すると扉が開く音がして、全員の視線が一点に集まった。
「賑やかで何よりですねえ、みなさん。こんにちは、店長。いつもので」
「は、常連ぶんなよ! なにこの坊主」
背中を立てた(実際には立ててないけど)ルリが呟く。さっきまでのルリとは全くの別人だった。ルリはいつもそうなのだろうか。でも、縄張りを犯されたかのように威嚇めいた声を上げるルリの方がより親近感が湧く。
「いらっしゃいませ。かしこまりました。マルゲリータピザですね」
「南無阿弥陀仏。木更津さん、汚い言葉を使ってはなりませんよ」
店長の言葉の後に「坊主」と呼ばれた男はまるで気にしない顔で、ルリに言葉を返す。坊主の声も店長に似ている。店長にもルリにも変わらない。仄かに温かい温度がある。
「こんにちは〜坊主さぁん」
「牟田さん、こんにちは。学業には勤しんでいますか?」
さっきの制服の女が挨拶をする。それに挨拶を返して、坊主はキッチンの方を見ながら席に座った。
「古谷君ピザ持ってってくれる? ありがとう」
「坊主のくせに気取ってピザとか食べんてんじゃねー」
相変わらず坊主を威嚇するルリを見ていて、なんとなく今のルリの方が親近感の湧く理由がわかった。今のルリは野良猫らしいからだ。野良猫のように自身のままならないことに攻撃し、この店というテリトリーを犯されることを何よりも嫌っている。しかしルリが野良猫と違うのは店長やさっき「牟田さん」と呼ばれていた女子高生のように一定の縄張りに入っていい人がいて、その人達には攻撃的にはならない。
「カオスだ……。こんなにカオスだから新規客が増えないのかな……」
こちらのやりとりを見ていた店長がぼそりと呟く。
「うーん、まぁまぁですかね! この前は国語のテストで40点取りましたぁ」
「南無阿弥陀仏。古谷さん、ピザありがとうございます。美味しそうです」
運ばれてきたピザの前で坊主は牟田さんの返答に相槌を打っている。しかし話していた牟田はすぐに視線を変えた。今度は私に向いた。
「ねこチャァン降りてきてくださいよぉ。猫じゃらしですよぉ。ほらほらぁ。あ、降りてきそう!」
牟田の興味がこちらに向くと、今度はルリが坊主の元に歩み寄ってきた。
「え、ピザめっちゃ可愛いんですけどー! ちょ、お坊さん、写真撮らせてくれます?」
「かわいいなぁ前飼ってた猫みたい。あぁ〜行かないでよぉぉ」
牟田が一瞬だけほどけた表情を浮かべる。
「店長には負けるけどー、猫ちゃんもわりかしカワイイ顔してんじゃん? こっちおいでよーほれほれ」
「牟田さん、猫を飼っていたんですか?」
店長が牟田の表情に寄り添うように言葉を繋げる。
「まぁ、先月死んじゃったんですけどねぇ」
「ああ……」
ルリが俯いた牟田と店長を見て「ちょっと重い話だったんですけど……」と感想を言った。
「南無阿弥陀仏、その猫も涅槃に至っていることでしょう」
「これぞお坊さんの出番ですね。マルは渡しませんよ。僕の大事なパートナーですので」
「そんなぁ」
ねはん。知らない言葉だ。それで、また自分の名前に反応が遅れてしまう。パートナーとは猫でいうオスメスの組み合わせみたいな、それに近い表現だ。人間の組み合わせには色々な表現があって難しい。友達とか、夫婦とか、恋人とか。それぞれに細やかな違いがある。子猫を産んで、餌を食べすぎないくらいまで育てるだけの役割ではないらしい。
「ネハン? 解説お願いします」
牟田が自分と同じように言葉を繰り返す。
「難しいし言葉、よくわからん! てか、パートナー、、??」
「あっ」
またルリは野良猫になる。今度縄張りに入ったのは自分だった。だが、決して不注意だったわけではない。
「え、ちょっと、猫のくせに店長のパートナー気取ってんの?」
「涅槃とはサンスクリット語でニルヴァーナと言います。すべての煩悩がなくなり、安らぎ、悟りの境地に入ることです。 お釈迦さまも涅槃に至っているのですよ。私も将来は涅槃に至ることを目標にしています」
もう坊主に視線を向ける人は誰もいない。時折空気にしないように目を配っても潜在的な意識は自分に全て集まっている。こういう時、私はどうしたらいいのかわからなくなる。大勢の注目を浴びないように生きるのが猫だからだ。まだ自身の不注意で注目が集まったなら今から逃げればいい。けれど縄張りに進入したわけでも、餌を横取りしたわけでも、メスを取り合っているわけでもない。
「この猫、もうむっちゃんが貰っちゃえば? ルリ、賛成〜」
「う、ううん……ルリちゃん、マルも大事にして……ね?」
店長が心配そうに牟田を見る。しばらく牟田は考え込むように、していたが突然私を持ち上げた。反応しようと思えば避けられたような気がする。けれどその両手が撫でる挙動とほとんど変わらず、不覚をとった。
「猫ちゃんは私のパートナーになるんですよぉ」
冗談のような真剣のような牟田の聞いたことのない歪んだ声が聞こえる。
「そ、それはやめて……!?」
そういう間に牟田は店の外へ走り去った。久しぶりの外だった。身体を動かしているわけではないのに、いつもより強い風が尻尾の先をかすめていった。
店長の声は誰に対しても、仄かに温かい。本当に温度があるわけではないけれど、人の声は猫の声と違う。感情の色合いが細かくて、それがきっと温度のように感じのだろう。
「あ、ルリちゃんじゃないかこんにちは」
オス。ではなく男性らしい低い声。猫の性別は体格や股の間の違いで判別しないといけない。しかし人はわかりやすい。
「店長〜〜〜!!!! 会いたかったです」
おおよそは声が高いか低いかだ。この身体が一瞬反応する高い声は女性だ。
「猫ちゃんかわいいねー」
「ルリ」と呼ばれた女性とは別の声。これも女性だ。二人目の女性はいつも一風変わった装いをしている。たまに店長は彼女の服のことを「制服」と呼んでいた。
「ちょっと待ってちょっと待って、優しく触って!」
制服の女性が床にいる私の頭を触る。冷たい。声なんかじゃなくて、しっかりと形のある温度だ。それなのに妙に心地よい場所を知っていて、少し気持ち良いのが悔しい。
「とりあえず二人とも、ご注文は?」
私から離そうと、店長が注文を取る。「え〜でも気持ちよさそうだし」と言いながら、手は離れた。
「ルリは〜、グラタン1つくーださい」
「ミルクたっぷりのコーヒーくださぁい」
ルリは制服姿の女性の注文を書き終えた店長に「今日もたくさん写真撮らないといけないんだから!」と言いつつバックから何かを取り出す。あれはスマホという。スマートフォンか携帯も同じだ。詳前から店長や多くの客が持っているから、知っている。一部の機能は遠く離れた相手と話すことだ。それ以外にも色々と使えるようだが、詳しいことは知らない。
「コーヒー、確か砂糖二つだったよね? かしこまりました」
「お願いしまぁす」
その会話を聞いていたのか、カウンター側で従業員が動いている。
「コーヒー古谷くん持っていって、ん。ありがとう」
「わぁい! コーヒーありがとうございまぁす」
その人の名前は古谷という。店長の名前は椎名という。もう少し何かついていた気がしたが、忘れた。本来猫は名前を覚える必要がないし、彼らにそこまで名前を必要とはしない。そんなことをしなくても、匂いや声で見分けられるからだ。
「古谷さんばっかり店長としゃべってズルい!」
「古谷くんはバイトだから仕方ないよ……」
そう言いながら店長は湯気が立つグラタンを置く。
「ありがとう〜店長」
そしてルリは取り出したスマホから紙が潰れたような音を鳴らし始めた。
「ちょっと、この猫邪魔なんだけ! 映り込まないでくれる!?」
その声は鋭くて冷たい。温度以上に感触のある声だ。
「あれえ? 猫ちゃんも飲みたいんですかぁ?」
「もう、どっか行ってよ!」
ひとまず彼女の視界から外れて、制服の女性の席へと歩く。
「ああ! 待って、マルに飲ませないで!」
私の口元にコーヒーのカップを注いできたのを店長がそう言って制した。
「でも飲みたそうじゃないですかぁ」
「待って待って、コーヒーは飲ませちゃいけないんだよ。ほら、マル怖かったね。カウンター座っていて」
時折、店長は私のことを「マル」と言う。でも猫にはやっぱり名前の必然性がわからない。だから反応も鈍くなってしまう。結局私は店長に両手で促されるまで、自分が移動すべきなのか分からなかった。
「えー、コーヒー飲むねこはちょっとカワイイかもぉ」
「ほらぁ、カワイイってこの人も言っているのにぃ」
二人に気押されて、店長は横分けの茶髪を掻く。すると扉が開く音がして、全員の視線が一点に集まった。
「賑やかで何よりですねえ、みなさん。こんにちは、店長。いつもので」
「は、常連ぶんなよ! なにこの坊主」
背中を立てた(実際には立ててないけど)ルリが呟く。さっきまでのルリとは全くの別人だった。ルリはいつもそうなのだろうか。でも、縄張りを犯されたかのように威嚇めいた声を上げるルリの方がより親近感が湧く。
「いらっしゃいませ。かしこまりました。マルゲリータピザですね」
「南無阿弥陀仏。木更津さん、汚い言葉を使ってはなりませんよ」
店長の言葉の後に「坊主」と呼ばれた男はまるで気にしない顔で、ルリに言葉を返す。坊主の声も店長に似ている。店長にもルリにも変わらない。仄かに温かい温度がある。
「こんにちは〜坊主さぁん」
「牟田さん、こんにちは。学業には勤しんでいますか?」
さっきの制服の女が挨拶をする。それに挨拶を返して、坊主はキッチンの方を見ながら席に座った。
「古谷君ピザ持ってってくれる? ありがとう」
「坊主のくせに気取ってピザとか食べんてんじゃねー」
相変わらず坊主を威嚇するルリを見ていて、なんとなく今のルリの方が親近感の湧く理由がわかった。今のルリは野良猫らしいからだ。野良猫のように自身のままならないことに攻撃し、この店というテリトリーを犯されることを何よりも嫌っている。しかしルリが野良猫と違うのは店長やさっき「牟田さん」と呼ばれていた女子高生のように一定の縄張りに入っていい人がいて、その人達には攻撃的にはならない。
「カオスだ……。こんなにカオスだから新規客が増えないのかな……」
こちらのやりとりを見ていた店長がぼそりと呟く。
「うーん、まぁまぁですかね! この前は国語のテストで40点取りましたぁ」
「南無阿弥陀仏。古谷さん、ピザありがとうございます。美味しそうです」
運ばれてきたピザの前で坊主は牟田さんの返答に相槌を打っている。しかし話していた牟田はすぐに視線を変えた。今度は私に向いた。
「ねこチャァン降りてきてくださいよぉ。猫じゃらしですよぉ。ほらほらぁ。あ、降りてきそう!」
牟田の興味がこちらに向くと、今度はルリが坊主の元に歩み寄ってきた。
「え、ピザめっちゃ可愛いんですけどー! ちょ、お坊さん、写真撮らせてくれます?」
「かわいいなぁ前飼ってた猫みたい。あぁ〜行かないでよぉぉ」
牟田が一瞬だけほどけた表情を浮かべる。
「店長には負けるけどー、猫ちゃんもわりかしカワイイ顔してんじゃん? こっちおいでよーほれほれ」
「牟田さん、猫を飼っていたんですか?」
店長が牟田の表情に寄り添うように言葉を繋げる。
「まぁ、先月死んじゃったんですけどねぇ」
「ああ……」
ルリが俯いた牟田と店長を見て「ちょっと重い話だったんですけど……」と感想を言った。
「南無阿弥陀仏、その猫も涅槃に至っていることでしょう」
「これぞお坊さんの出番ですね。マルは渡しませんよ。僕の大事なパートナーですので」
「そんなぁ」
ねはん。知らない言葉だ。それで、また自分の名前に反応が遅れてしまう。パートナーとは猫でいうオスメスの組み合わせみたいな、それに近い表現だ。人間の組み合わせには色々な表現があって難しい。友達とか、夫婦とか、恋人とか。それぞれに細やかな違いがある。子猫を産んで、餌を食べすぎないくらいまで育てるだけの役割ではないらしい。
「ネハン? 解説お願いします」
牟田が自分と同じように言葉を繰り返す。
「難しいし言葉、よくわからん! てか、パートナー、、??」
「あっ」
またルリは野良猫になる。今度縄張りに入ったのは自分だった。だが、決して不注意だったわけではない。
「え、ちょっと、猫のくせに店長のパートナー気取ってんの?」
「涅槃とはサンスクリット語でニルヴァーナと言います。すべての煩悩がなくなり、安らぎ、悟りの境地に入ることです。 お釈迦さまも涅槃に至っているのですよ。私も将来は涅槃に至ることを目標にしています」
もう坊主に視線を向ける人は誰もいない。時折空気にしないように目を配っても潜在的な意識は自分に全て集まっている。こういう時、私はどうしたらいいのかわからなくなる。大勢の注目を浴びないように生きるのが猫だからだ。まだ自身の不注意で注目が集まったなら今から逃げればいい。けれど縄張りに進入したわけでも、餌を横取りしたわけでも、メスを取り合っているわけでもない。
「この猫、もうむっちゃんが貰っちゃえば? ルリ、賛成〜」
「う、ううん……ルリちゃん、マルも大事にして……ね?」
店長が心配そうに牟田を見る。しばらく牟田は考え込むように、していたが突然私を持ち上げた。反応しようと思えば避けられたような気がする。けれどその両手が撫でる挙動とほとんど変わらず、不覚をとった。
「猫ちゃんは私のパートナーになるんですよぉ」
冗談のような真剣のような牟田の聞いたことのない歪んだ声が聞こえる。
「そ、それはやめて……!?」
そういう間に牟田は店の外へ走り去った。久しぶりの外だった。身体を動かしているわけではないのに、いつもより強い風が尻尾の先をかすめていった。
執筆者: sanzen
| 2023/11/25 09:12
木更津ルリ
test
(11/27 13:19)
牟田 萌花
てすと
(11/27 13:19)
古⾕ 樹
テスト
(11/27 13:21)
浄堂
test
(11/27 13:21)
椎名
ちょっと待って!!!!
(11/27 13:21)
椎名
連れて行かないでよ!!
(11/27 13:21)
木更津ルリ
あー、本当に連れて行っちゃう感じ?
(11/27 13:22)
古⾕ 樹
え、は?・・・警察に連絡しますか?
(11/27 13:22)
椎名
それだけは許さないよ?
(11/27 13:22)
木更津ルリ
ま、ルリにはカンケーないけど!
(11/27 13:22)
古⾕ 樹
いや、それよりも先に追いかけないとダメか。自分、行ってきます
(11/27 13:23)
牟田 萌花
はぁ、はぁ、急がなくちゃ
(11/27 13:23)
椎名
だから、待てってば!!
(11/27 13:23)
椎名
おい!!
(11/27 13:23)
古⾕ 樹
ちょっと、待ってください!
(11/27 13:24)
浄堂
待ちなさい!
(11/27 13:24)
牟田 萌花
ここの角を曲がれば!
(11/27 13:24)
牟田 萌花
あぁ、待ってください猫ちゃん!
(11/27 13:24)
椎名
マル!!マルーー!!!!!!
店を空けられないから出て行けないのに、ああ、もう!! (11/27 13:24)
店を空けられないから出て行けないのに、ああ、もう!! (11/27 13:24)
牟田 萌花
そっちに行っちゃだめぇ!
(11/27 13:25)
木更津ルリ
なんか皆必死に走ってておもろいんですけど、写真撮っちゃお
(11/27 13:25)
古⾕ 樹
マルちゃん!牟田さん!
(11/27 13:25)
浄堂
牟田さん、ヘルガーを返しなさい!
(11/27 13:25)
木更津ルリ
バズるかもしれんし!
(11/27 13:26)
牟田 萌花
嫌ですぅ! 私の家に持って帰るんですぅ
(11/27 13:26)
浄堂
ヘルガーが逃げた!
(11/27 13:27)
古⾕ 樹
ヘルガーじゃないですよ、和尚さん。ああ、待ってください!
(11/27 13:27)
牟田 萌花
猫ちゃん!そっちは逆方向ですぅ!
(11/27 13:28)
古⾕ 樹
地理を生かして先回りして猫を捕まえます。
(11/27 13:28)
木更津ルリ
皆走って行っちゃったし、二人きりですね? 店長♡
(11/27 13:28)
古⾕ 樹
捕まえた!よーし、よし。店長の元に戻りましょうね、マルくん
(11/27 13:29)
牟田 萌花
あぁ~もう少しだったのにぃ
(11/27 13:30)
浄堂
良かった、ヘルガーが涅槃に至ってしまうところでした
(11/27 13:31)
椎名
客に言うのもアレですが、最低じゃないですか。牟田さん
(11/27 13:31)
木更津ルリ
えー!ちょっと、戻ってくるの早すぎなんですけど!!いい感じだったのに
(11/27 13:31)
古⾕ 樹
それで、とりあえず戻ってお話し合いしましょうか。ヘルガーじゃないですけど
(11/27 13:31)
椎名
和尚さん黙っててください
(11/27 13:31)
浄堂
牟田さん、どうしてこんなことをしてしまったんですか?
(11/27 13:31)
浄堂
……
(11/27 13:32)
牟田 萌花
えぇっと、その……
(11/27 13:32)
椎名
マルを返してください
(11/27 13:32)
古⾕ 樹
まあまあ。説法もとりあえず戻った後に聞きましょう。ありがたい話ですよ
(11/27 13:32)
牟田 萌花
ちょっと、魔が差してしまって。やっぱり、猫ちゃんはミルクそっくりなんですぅ
(11/27 13:33)
古⾕ 樹
でも、ミルクちゃん本人ではないですよ。まあ、一回は戻って店長に返しましょう
(11/27 13:34)
木更津ルリ
ミルクって誰なん?
(11/27 13:35)
浄堂
いや、ヘルガーですよね
(11/27 13:35)
椎名
その猫とマルを一緒にしないでください。マルはマルだしミルクはミルクです
(11/27 13:35)
古⾕ 樹
マルくんですよ
(11/27 13:35)
牟田 萌花
はぁい。ごめんなさい、店長。
(11/27 13:35)
牟田 萌花
ミルクは、先日亡くなった私の猫です。
(11/27 13:36)
古⾕ 樹
お話しされていた猫ちゃんですね。ご愁傷様です
(11/27 13:37)
椎名
牟田さん、出禁にしますよ
(11/27 13:38)
牟田 萌花
あぁ、それだけは勘弁してくださぁい
(11/27 13:38)
古⾕ 樹
まあまあ。戻ってきたことですし・・・
(11/27 13:38)
牟田 萌花
猫ちゃんに会えなくなるのは嫌なんですぅ
(11/27 13:38)
浄堂
店長さん、三宝帰依の教えですよ。
(11/27 13:39)
椎名
マル、おいで
怖かったね (11/27 13:39)
怖かったね (11/27 13:39)
木更津ルリ
怒ってる店長もかっこいい♡
(11/27 13:39)
椎名
よしよし……
(11/27 13:39)
牟田 萌花
マルちゃん、ごめんねぇ
(11/27 13:39)
古⾕ 樹
戻ってきてよかったですね。ただ、あのままでは車に轢かれたり危ない目に遭っていたかもしれませんよ、牟田さん。
(11/27 13:40)
椎名
とにかく、店の外に猫を連れ出すのは禁止です。皆さん、料理が冷めてしまいますから、席に戻ってお食べください。
(11/27 13:41)
牟田 萌花
ですよねぇ。本当にごめんなさぁい
(11/27 13:41)
浄堂
牟田さん、不偸盗戒ですよ。盗みはいけません。道理に反した行いを反省してください。
(11/27 13:43)
木更津ルリ
店長お手製のグラタン、冷める前にいただきまーす!
(11/27 13:43)
古⾕ 樹
三宝帰依の教え、不偸盗戒ですか。後で調べさせていただきますね。
(11/27 13:44)
椎名
はい、どうぞ
(11/27 13:44)
牟田 萌花
はい……。やっぱり坊主さんは、盗みなんてしないですよねぇ
(11/27 13:44)
浄堂
やれやれ、ピザが冷めてしまいました
(11/27 13:44)
牟田 萌花
うぅ、コーヒー美味しい……
(11/27 13:45)
浄堂
牟田さん、私も若い頃は窃盗をした前科者です。しかし、拘留されているときに仏教の教えに出会い更生したのです
(11/27 13:46)
木更津ルリ
え、やば。やば坊主じゃん
(11/27 13:46)
椎名
うわ…………
(11/27 13:47)
牟田 萌花
そ、そうなんですかぁ!?
(11/27 13:47)
古⾕ 樹
人にはいろんな過去があるものですね・・・
(11/27 13:47)
木更津ルリ
そんな過去あんのによく人に説教なんてできるね!
(11/27 13:47)
牟田 萌花
坊主さん、そんな人だったなんてぇ
(11/27 13:47)
浄堂
ルリさん、あなたからは不浄の雰囲気を感じます。私のようにならないよう気をつけてください。
(11/27 13:48)
木更津ルリ
心配されなくても、絶対なりませんよーだ。こちとらフォロワー二十五万人のインフルエンサーなんだから!
(11/27 13:48)
椎名
!?
(11/27 13:49)
木更津ルリ
てか、さっきの坊主の動画、インスタあげていい? バズりそうだし
(11/27 13:49)
椎名
あ、本当だ……もうインスタで『走る坊主』がバズってる
(11/27 13:50)
古⾕ 樹
それは肖像権とか色々ありますが・・・
(11/27 13:50)
浄堂
いんすた?よく分かりませんね、まぁ好きにしてください
(11/27 13:51)
古⾕ 樹
あ、許可を得たなら、まあ
(11/27 13:51)
古⾕ 樹
ただ、そこの動画から個人情報を特定されかねないので気をつけてくださいね
(11/27 13:52)
牟田 萌花
猫ちゃん、お詫びのチュールあげますねぇ
(11/27 13:52)
椎名
あ……チュールなら、まぁ。まる、言っておいで
(11/27 13:53)
牟田 萌花
いいんですかぁ! 良かったぁ~
(11/27 13:54)
古⾕ 樹
よかったですね。マルくん
(11/27 13:54)
牟田 萌花
猫ちゃん、美味しいですかぁ?
(11/27 13:54)
牟田 萌花
ごめんねぇ。今まで呼べなかったけど、これからはマルちゃんってちゃんと呼びますからねぇ
(11/27 13:55)
椎名
うん、それは嬉しいな。俺としても
(11/27 13:57)
古⾕ 樹
一件落着ということで。よかったですね
(11/27 13:57)
牟田 萌花
えへへぇ。マルちゃん、ふわふわですねぇ
(11/27 13:58)
浄堂
一見落着ですね。良かった良かった
(11/27 13:58)
牟田 萌花
これ、私が飼ってたミルクなんですけど、マルちゃんとそっくりじゃないですかぁ?
(11/27 14:00)
木更津ルリ
えー、めっちゃ似てる! 実は同じ猫なんじゃね?
(11/27 14:00)
木更津ルリ
ほとんど見分けつかんし!
(11/27 14:00)
牟田 萌花
やっぱりそう思いますよねぇ! 私も初めてマルちゃんを見たときは、ミルクが生き返ったのかと思いましたよぉ
(11/27 14:01)
椎名
本当だ、かわいい
マルは野良猫なんだけどもしかしたら兄弟とか……。ふふ、ここの斑とかもそっくりだね (11/27 14:01)
マルは野良猫なんだけどもしかしたら兄弟とか……。ふふ、ここの斑とかもそっくりだね (11/27 14:01)
木更津ルリ
そっくりてか、同じじゃん!
(11/27 14:02)
古⾕ 樹
いろんな猫ちゃんがいるんですねえ
(11/27 14:02)
浄堂
いや、ヘルガーですよね。誰の話をしてるんですか、皆さんさっきから
(11/27 14:02)
木更津ルリ
ミルクって、何で死んじゃったん?
(11/27 14:02)
牟田 萌花
さっきからへるがーって何ですかぁ?
(11/27 14:03)
椎名
あなたこそ何の話をしているんですか。マルです
(11/27 14:03)
古⾕ 樹
はあ
(11/27 14:03)
古⾕ 樹
まあまあ
(11/27 14:03)
木更津ルリ
ヘルガーヘルガーって、さっきから何の話なん。やば坊主
(11/27 14:03)
牟田 萌花
ミルクはぁ、私もよく分からないんですけど、急に体調悪くなっちゃってぇ
(11/27 14:04)
椎名
与えた食べ物とかは?
(11/27 14:04)
牟田 萌花
私、最期まで付きっきりでお世話したんですけどぉ、逆に悪化してしまって
(11/27 14:05)
古⾕ 樹
胃の調子とか色々とありますからね。病院の方は?
(11/27 14:05)
椎名
逆に悪化…………?
(11/27 14:05)
牟田 萌花
あったかいコーヒーとか、ですかねぇ
(11/27 14:05)
木更津ルリ
実はミルクは死んでなかったとか、ワンチャンある?
(11/27 14:05)
古⾕ 樹
ん?
(11/27 14:05)
椎名
あったかいコーヒー!!??
(11/27 14:05)
椎名
何してるんですか?!
(11/27 14:06)
古⾕ 樹
は?
(11/27 14:06)
木更津ルリ
いや、猫にコーヒーあげてんのやばくね? やばJK
(11/27 14:06)
浄堂
珈琲?私は飲めませんよ
(11/27 14:06)
古⾕ 樹
いやいやいやいや。何を与えてるんですか、ダメでしょ??!
(11/27 14:06)
椎名
これ、あげます。猫の飼い方の本
(11/27 14:06)
椎名
全部熟読してください。
(11/27 14:07)
牟田 萌花
コーヒーって、どうして駄目なんですかぁ?
私は疲れたときとかに、ミルクたっぷりのコーヒーが飲みたくなるんですけどぉ (11/27 14:07)
私は疲れたときとかに、ミルクたっぷりのコーヒーが飲みたくなるんですけどぉ (11/27 14:07)
牟田 萌花
あ、ありがとうございます。
(11/27 14:07)
古⾕ 樹
そもそも人間以外の動物に与えてはならない食べ物がありますし、コーヒーなんてチョコレートと同じくらいダメですよ。猫や犬にとって毒です
(11/27 14:08)
椎名
猫が飲めたり食べられるものと人間が飲めたり食べられるものは根本的に違うんですよ。私たちがキャットフードを食べられます?
(11/27 14:08)
牟田 萌花
ど、毒!? あんなに美味しいのにぃ!?
(11/27 14:09)
浄堂
カフェインは夜摂取すると眠れなくなりますよ、私が毎晩玉露を飲んでいます
(11/27 14:09)
古⾕ 樹
まあ、キャットフードを食べて猫に与えるかどうか考える人もいますけど、基本的に食しませんからねえ
(11/27 14:09)
木更津ルリ
やば坊主とやばJK、やばいのしかいなくてウケる!
(11/27 14:09)
牟田 萌花
食べられるんじゃないですかぁ? マルちゃん、一口ちょうだい!
(11/27 14:09)
椎名
何でこんな店に……
(11/27 14:09)
古⾕ 樹
だからこそ、逆にカフェインを摂取して徹夜する人間もいますけどね、和尚さん
(11/27 14:10)
木更津ルリ
やっぱりルリが一番いいお客さんでしょ、店長?♡
(11/27 14:10)
牟田 萌花
もぐもぐ……
あ、私食べれるかもぉ (11/27 14:10)
あ、私食べれるかもぉ (11/27 14:10)
椎名
やっぱり牟田さんはもう動物を飼うのはやめた方がいいとおもいます……
(11/27 14:10)
古⾕ 樹
でも、栄養素や味、それをずっと食べれますか?
(11/27 14:11)
椎名
一番いいお客さんだね、ありがとね……
(11/27 14:11)
牟田 萌花
そんなぁ、私の動物セラピーライフがぁ
(11/27 14:11)
牟田 萌花
うーん、キャラメルソースとかかければ、行けるかもぉ?
(11/27 14:12)
古⾕ 樹
まあ、道端の猫などを愛でるくらいなら。ご飯は与えては行けないですけど
(11/27 14:12)
木更津ルリ
え、まじやば……
(11/27 14:13)
古⾕ 樹
栄養素が偏りますよ、やめましょうね
(11/27 14:13)
浄堂
キャットフードですか、若い頃は食べましたねぇ
(11/27 14:13)
木更津ルリ
炎上するよ、むっちゃん
(11/27 14:13)
牟田 萌花
はぁい……
(11/27 14:14)
椎名
ほら!もう閉店時刻です。ラストオーダーがなければ、あと30分ですから食べ切ってくださいね
(11/27 14:15)
古⾕ 樹
裏で片付けをしておきますね、店長
(11/27 14:16)
牟田 萌花
もうそんな時間!キャットフード食べてる場合じゃなかったぁ!
(11/27 14:16)
浄堂
ラストオーダーですか、マルゲリータピザをもう一つお願いします。
(11/27 14:16)
木更津ルリ
グラタン美味しかったです!最後にー、パフェください♡
(11/27 14:16)
椎名
実はそう言われると思ってもう作ってありました。古谷くんこれ全部皆さんのところにお願いします。
(11/27 14:17)
古⾕ 樹
・・・調理した方が良いみたいですね。急ぎます
(11/27 14:17)
牟田 萌花
じゃあ、私はパンケーキでぇ!
(11/27 14:17)
木更津ルリ
え!? 店長。流石すぎ!! 本当格好いい〜♡
(11/27 14:17)
椎名
ああ、調理してあるから大丈夫だよ!!これお願い!
(11/27 14:18)
木更津ルリ
やば坊主はピザ食べ過ぎな!
(11/27 14:18)
古⾕ 樹
はい、かしこまりました。
(11/27 14:18)
牟田 萌花
マルちゃぁん、あんなに美味しいパンケーキも、食べられないんですかぁ?
(11/27 14:18)
浄堂
なんと、、、南無阿弥陀仏
(11/27 14:19)
牟田 萌花
一口くらい、味見とかしますぅ?
(11/27 14:19)
椎名
お願いだから店のものは食べさせないでね
(11/27 14:20)
外に出た分、お腹が空いていたが私の分のキャットフードは心なしか量が少ないように感じた。店長が与える餌はなんでも健康志向らしく、前のものより味が薄い。口が動いているはずなのに実際は人に出されるグラタンやコーヒーの方がお腹に溜まるような気がした。
外はいつの間にか夜に近付いている。コートを着たサラリーマンが少しだけこちらに顔を向けたがすぐに何か手元を見て、歩き出した。
結局私はここに戻ってきた。あのまま牟田に連れて行かれていたらどうなっていたのだろう。店長と古谷にひどく怒られた牟田はかなり反省したので、それはもう再び起こり得ない未来だ。でも、こうして飼い猫でいると今の時間がおざなりになって、そういう存在しない未来のことばかり考えてしまう。
牟田の家は、わからない。しかし人間にも猫と同じように親子があると聞く。猫とは違って、追い出しにかかることがなく自然と離れていくものらしい。牟田は恐らく同じ女であるルリよりも若い。言動はさして変わらないが、なんとなく撫でられる時の肌の質感とか、つがいを作ろうと店長に迫る時の焦燥感からそう感じる。
牟田は私が亡くなった「ミルク」という猫に似ていると言っていた。つまり私は牟田の下で「ミルク」という見知らぬ猫になる予定だったのだ。店長はマルという名前で私を呼ぶが彼女にとっては自分が「ミルク」だということだろう。
正直言ってその呼び方に大差のようなものは存在しない。坊主が言っている「ヘルガー」も同じだ。要は呼ばれている名前に年季が入っているかどうかだけ。別にマルになってもミルクになってもいいが、それ以前に私は猫であり、猫として辿ってきた過去が自分と他の猫や野良とを分けている。それさえ分かっていれば、猫にとって呼び名はどうでもいい。
牟田の亡くなった猫。ミルクを思い浮かべる。自分と風体が似ていると、なんとなく思考も似通っているのではと考えてしまう。ミルクは一体どんな暮らしをしていたのだろう。人に飼われている猫と私は会ったことがない。猫は犬と違って散歩をしない。基本的な一度飼われると基本的な生活は家の中で終始してしまう。
すぐに空になって下げられた皿を見送り、乾いた口元を隣に置かれていた水で湿らせる。ぼんやりと水面を眺めていると、そこにもう一人の私。ミルクがいて、じっとこちらを見ている。「マル」になった自分を見ている。
ミルクのことを頭の中で描く。しかし納得がいかない。自分と同じはずなのに、それを描きだそうとする要素が足りなかった。第一に私はミルクの住処を知らなかった。住処を知らないのだから、餌場も生き方も知っているはずがない。でも、知らないならこの目で見て知っておけばいい。
水面に映るミルクから視線を外し、外を見る。コーヒーの匂いが薄い。閉店までは多分もう少しだ。ゆっくりと腕を身体にしまい込んで、私はもう一度外に出るための時間を伺い始めた。
真夜中の外は静かで好きだ。耳が凪いでいる。昼間に牟田が私を連れて向かっていた場所が、丁度駅から離れていく方向だった。
昼間の雑踏や車の残響が遠のき、明かりが徐々に消えていく。残っているのは前を歩いている牟田の足音だけになった。気付かれないように、家々の間を通る石垣に飛び移る。少しだけバランスを崩したがすぐに野生の頃の勘を取り戻した。
石垣を渡って家の間を通り抜けた分、私は牟田よりも少しだけ先回りする形で家に辿り着いた。牟田が家の前について牟田と少し顔が似た女が出迎える。母親だろう。つまり牟田はまだ親離れをする前の若さだった。
牟田が完全に家に入ったのを見て、牟田の家の塀に飛び移る。一階には白いカーテンがかかっており、その隙間からしか中の様子を見ることはできない。その範囲にはおおよそミルクの痕跡はなかった。
あともう少しどこかにあれば。そう思っていると、後ろから急に唸るような鳴き声を聞いた。野良猫だ。暗闇に紛れやすい黒い図体が軽やかな細い身体を描く。右目の縁に大きな生々しい傷が二つ。恐らくかなりいい場所を勝ち取ったのだろう。そしてここは間違いなく、この野良猫の縄張りだ。
猫の争いには必ず間合いというものがある。しかしその猫は問答無用とばかりに距離を詰めてくる。恐らく今しがたこの場所を手に入れたばかりで気が立っているのだ。チラリと爪を見ると、そこにはまだ他の猫の血が付着していた。
野良猫に言葉はない。あるとすれば身体に刻み込む怒りのサインだけだ。つまりどういう風に私が言葉を送ったとしても、この黒猫は隙と見てさらに間合いを詰めてくる。弊の奥。暗い場所へじりじりと私は後退りをしていく。そうしているうちにようやく、私はミルクを見つけた。そこにあったのはキャットフードを入れた小さな白いマグカップだった。
あんな小さな餌を食べて生きていけるのだろうか。私はきっと生きていけない。けれど複数回に分けてなら量は変わらないだろう。その方が満足感もある。あと数秒で私は襲われる。そう知っていても、私はやはり存在しない未来のことを考えていた。まるでそちらの方が現実で今が悪夢の中にいるような気がした。
黒猫の爪が一瞬の軌跡を描く。夜明けはまだずっと先だった。
外はいつの間にか夜に近付いている。コートを着たサラリーマンが少しだけこちらに顔を向けたがすぐに何か手元を見て、歩き出した。
結局私はここに戻ってきた。あのまま牟田に連れて行かれていたらどうなっていたのだろう。店長と古谷にひどく怒られた牟田はかなり反省したので、それはもう再び起こり得ない未来だ。でも、こうして飼い猫でいると今の時間がおざなりになって、そういう存在しない未来のことばかり考えてしまう。
牟田の家は、わからない。しかし人間にも猫と同じように親子があると聞く。猫とは違って、追い出しにかかることがなく自然と離れていくものらしい。牟田は恐らく同じ女であるルリよりも若い。言動はさして変わらないが、なんとなく撫でられる時の肌の質感とか、つがいを作ろうと店長に迫る時の焦燥感からそう感じる。
牟田は私が亡くなった「ミルク」という猫に似ていると言っていた。つまり私は牟田の下で「ミルク」という見知らぬ猫になる予定だったのだ。店長はマルという名前で私を呼ぶが彼女にとっては自分が「ミルク」だということだろう。
正直言ってその呼び方に大差のようなものは存在しない。坊主が言っている「ヘルガー」も同じだ。要は呼ばれている名前に年季が入っているかどうかだけ。別にマルになってもミルクになってもいいが、それ以前に私は猫であり、猫として辿ってきた過去が自分と他の猫や野良とを分けている。それさえ分かっていれば、猫にとって呼び名はどうでもいい。
牟田の亡くなった猫。ミルクを思い浮かべる。自分と風体が似ていると、なんとなく思考も似通っているのではと考えてしまう。ミルクは一体どんな暮らしをしていたのだろう。人に飼われている猫と私は会ったことがない。猫は犬と違って散歩をしない。基本的な一度飼われると基本的な生活は家の中で終始してしまう。
すぐに空になって下げられた皿を見送り、乾いた口元を隣に置かれていた水で湿らせる。ぼんやりと水面を眺めていると、そこにもう一人の私。ミルクがいて、じっとこちらを見ている。「マル」になった自分を見ている。
ミルクのことを頭の中で描く。しかし納得がいかない。自分と同じはずなのに、それを描きだそうとする要素が足りなかった。第一に私はミルクの住処を知らなかった。住処を知らないのだから、餌場も生き方も知っているはずがない。でも、知らないならこの目で見て知っておけばいい。
水面に映るミルクから視線を外し、外を見る。コーヒーの匂いが薄い。閉店までは多分もう少しだ。ゆっくりと腕を身体にしまい込んで、私はもう一度外に出るための時間を伺い始めた。
真夜中の外は静かで好きだ。耳が凪いでいる。昼間に牟田が私を連れて向かっていた場所が、丁度駅から離れていく方向だった。
昼間の雑踏や車の残響が遠のき、明かりが徐々に消えていく。残っているのは前を歩いている牟田の足音だけになった。気付かれないように、家々の間を通る石垣に飛び移る。少しだけバランスを崩したがすぐに野生の頃の勘を取り戻した。
石垣を渡って家の間を通り抜けた分、私は牟田よりも少しだけ先回りする形で家に辿り着いた。牟田が家の前について牟田と少し顔が似た女が出迎える。母親だろう。つまり牟田はまだ親離れをする前の若さだった。
牟田が完全に家に入ったのを見て、牟田の家の塀に飛び移る。一階には白いカーテンがかかっており、その隙間からしか中の様子を見ることはできない。その範囲にはおおよそミルクの痕跡はなかった。
あともう少しどこかにあれば。そう思っていると、後ろから急に唸るような鳴き声を聞いた。野良猫だ。暗闇に紛れやすい黒い図体が軽やかな細い身体を描く。右目の縁に大きな生々しい傷が二つ。恐らくかなりいい場所を勝ち取ったのだろう。そしてここは間違いなく、この野良猫の縄張りだ。
猫の争いには必ず間合いというものがある。しかしその猫は問答無用とばかりに距離を詰めてくる。恐らく今しがたこの場所を手に入れたばかりで気が立っているのだ。チラリと爪を見ると、そこにはまだ他の猫の血が付着していた。
野良猫に言葉はない。あるとすれば身体に刻み込む怒りのサインだけだ。つまりどういう風に私が言葉を送ったとしても、この黒猫は隙と見てさらに間合いを詰めてくる。弊の奥。暗い場所へじりじりと私は後退りをしていく。そうしているうちにようやく、私はミルクを見つけた。そこにあったのはキャットフードを入れた小さな白いマグカップだった。
あんな小さな餌を食べて生きていけるのだろうか。私はきっと生きていけない。けれど複数回に分けてなら量は変わらないだろう。その方が満足感もある。あと数秒で私は襲われる。そう知っていても、私はやはり存在しない未来のことを考えていた。まるでそちらの方が現実で今が悪夢の中にいるような気がした。
黒猫の爪が一瞬の軌跡を描く。夜明けはまだずっと先だった。
執筆者: sanzen | 2023/12/02 10:13
古⾕ 樹
「店長遅いなあ」
(12/04 13:10)
古⾕ 樹
「仕込みのシチュー、いい感じなんだけど」
(12/04 13:11)
古⾕ 樹
「?」
「ライン?」 (12/04 13:11)
「ライン?」 (12/04 13:11)
椎名
ママママママママるが
(12/04 13:12)
椎名
脱走した
(12/04 13:12)
古⾕ 樹
「えっと?」
(12/04 13:12)
椎名
マルが脱走したから探してくるごめん店回して
(12/04 13:12)
古⾕ 樹
「もしもし店長。一体どうなさいましたか?」
(12/04 13:13)
古⾕ 樹
「え?」
(12/04 13:13)
椎名
ごめんまるが家一緒に帰ってからいなくて
(12/04 13:13)
椎名
まる、マルが
(12/04 13:14)
古⾕ 樹
「…わかりました。店は回しておきます。お店に来られたお客様にも聞いておきますね」
(12/04 13:14)
椎名
ごめんお願いします
(12/04 13:14)
古⾕ 樹
「えっと、とりあえず開店させないと」
(12/04 13:15)
牟田 萌花
こんにちはぁ!マルちゃぁーん!
(12/04 13:15)
木更津ルリ
店長〜♡今日もルリが来ましたよ!
(12/04 13:15)
牟田 萌花
ってあれぇ? マルちゃん、どこですかぁ?
(12/04 13:15)
古⾕ 樹
「おはようございます、木更津さん、牟田さん」
(12/04 13:15)
牟田 萌花
おはようございます! 今日はマルちゃんいないんですかぁ?
(12/04 13:16)
木更津ルリ
え、てか店長いないんですけど!
(12/04 13:16)
古⾕ 樹
「申し訳ないんですけど、色々とありまして。その、道中でマルちゃん見られませんでしたか?あの後、再び行方不明になってしまったみたいで。今、店長が探していて、私のみです」
(12/04 13:17)
浄堂
南無阿弥陀仏、いつもので
(12/04 13:18)
木更津ルリ
えー、店長が猫ちゃん探してるんならルリも手伝う!
(12/04 13:18)
牟田 萌花
マルちゃんが行方不明!?
そんな…… (12/04 13:18)
そんな…… (12/04 13:18)
木更津ルリ
猫ちゃんどこ行っちゃったの?
(12/04 13:18)
古⾕ 樹
「おはようございます、和尚さん。いつものですね」
(12/04 13:19)
古⾕ 樹
「お時間があるようでしたら助かります。店長も大慌てで。私も心配なのですが、店を放置できず」
(12/04 13:20)
牟田 萌花
もしかして、昨日私が外に出しちゃったからまた外に行きたくなっちゃったとかですかねぇ?
(12/04 13:20)
木更津ルリ
坊主、ピザ食ってる場合じゃねーだろ! 店長のために猫探すの手伝え
(12/04 13:20)
牟田 萌花
私も探します!
(12/04 13:20)
古⾕ 樹
「まあ、可能性としては?ただ、店長と帰った後にどうやって抜け出したのかは不明でして」
(12/04 13:21)
浄堂
なんと、猫が!
(12/04 13:21)
浄堂
ピザが冷める前に見つけなければ!
(12/04 13:21)
木更津ルリ
えー、でも鍵かかってたんでしょ? どうやって出るん?
(12/04 13:21)
古⾕ 樹
「それは全く不明で」
(12/04 13:22)
牟田 萌花
そうなんですねぇ……
とりあえず、昨日連れ出した場所を探しましょうか? (12/04 13:22)
とりあえず、昨日連れ出した場所を探しましょうか? (12/04 13:22)
浄堂
私のハーレーダビッドソンの後ろに乗ってください!早く行きましょう
(12/04 13:23)
木更津ルリ
そこに店長もいるのかな? なら行ってみっか!
(12/04 13:24)
古⾕ 樹
まあ、付近の捜索であれば見つかるかもしれませんし、お願いできますか?
(12/04 13:24)
牟田 萌花
ですねぇ! 私、案内します!
(12/04 13:24)
牟田 萌花
もちろんです! マルちゃんのためならなんでもしますぅ!
(12/04 13:25)
浄堂
いやー後ろに女の子を乗せるなんて何年ぶりでしょうか。心躍りますね~
(12/04 13:27)
木更津ルリ
え、きも……。
(12/04 13:27)
牟田 萌花
マルちゃん、大丈夫かなぁ……
(12/04 13:27)
浄堂
もっとしがみついてもいいですよ、牟田さん
(12/04 13:29)
牟田 萌花
……
(12/04 13:29)
牟田 萌花
ていうかぁ、これじゃあマルちゃん見つけられなくないですかぁ?
(12/04 13:30)
木更津ルリ
え、更にきも……。無駄口叩いてねーで店長のとこまで走れ!
(12/04 13:30)
牟田 萌花
速すぎて全然探せないんですけどぉ……
(12/04 13:30)
椎名
マル!!!!!!!!!!!!!!
(12/04 13:31)
木更津ルリ
あ!!!店長の声が!!!
(12/04 13:31)
牟田 萌花
え!?
(12/04 13:32)
木更津ルリ
坊主、そこの角曲がって真っ直ぐ行け!
(12/04 13:32)
浄堂
おやおや、命令ですか?
(12/04 13:32)
浄堂
仕方ありませんねぇ
(12/04 13:33)
牟田 萌花
よく分かりましたねぇ?!
(12/04 13:33)
木更津ルリ
店長ー!!
(12/04 13:33)
牟田 萌花
マルちゃん、見つかりましたかぁ?
(12/04 13:33)
椎名
マル!!マルが!!傷……ッ!!
(12/04 13:34)
椎名
怪我してて……ッ
(12/04 13:34)
木更津ルリ
店長、血まみれ!! 大丈夫ですか!!?
(12/04 13:34)
牟田 萌花
そ、そんなぁ……!
(12/04 13:34)
浄堂
ヘルガーァァァァァァァァァ
(12/04 13:34)
椎名
マルが……ッ!!!!
(12/04 13:34)
椎名
と、とりあえずどうすれば、これ、病院……?!
(12/04 13:35)
牟田 萌花
マルちゃん、どうしてこんなになっちゃったんですかぁ!?
(12/04 13:35)
椎名
マルが起きないんだ、マル、まだ息はしてるのに
(12/04 13:35)
浄堂
私のハーレーで動物病院へ!
(12/04 13:36)
椎名
良いんですかっ?
(12/04 13:36)
浄堂
店長、しっかり捕まっててください!
(12/04 13:36)
木更津ルリ
捕まるのはオメーだよ、坊主
(12/04 13:36)
牟田 萌花
坊主さん、マルちゃんにセクハラしないでくださいね
(12/04 13:37)
木更津ルリ
店長にベタベタしやがって!でも猫の命には変えられん!
(12/04 13:37)
椎名
……??
とりあえず助かりますっ!!! (12/04 13:38)
とりあえず助かりますっ!!! (12/04 13:38)
浄堂
着きました!流石私のハーレー
(12/04 13:38)
椎名
早いなおい
(12/04 13:39)
椎名
ありがとうございます……!!
とりあえず、診察してきます。皆さん、来てくださってありがとうございました。どうやってここがわかったのかわかりませんが、助かりました。皆さんは先にカフェに戻ってください (12/04 13:41)
とりあえず、診察してきます。皆さん、来てくださってありがとうございました。どうやってここがわかったのかわかりませんが、助かりました。皆さんは先にカフェに戻ってください (12/04 13:41)
浄堂
えっ、事情聴取?ちょっと待ってください。私は聖職者ですよ!
(12/04 13:42)
牟田 萌花
だからこそ、駄目なんじゃないですかねぇ……
(12/04 13:43)
木更津ルリ
ルリは店長と一緒にいる〜♡
(12/04 13:43)
木更津ルリ
皆先帰ってていいよ!
(12/04 13:44)
浄堂
くっ、天罰が下りますよ 私を捕らえると!
(12/04 13:44)
牟田 萌花
分かりましたぁ!
(12/04 13:44)
浄堂
ちょっちょっ、パトカーは嫌だーーーー
(12/04 13:45)
浄堂
私のハーレーに触るな、公僕がぁぁぁ
(12/04 13:45)
古⾕ 樹
…あ!お帰りなさい、牟田さん。マルちゃんは見つかりましたか?もう心配で、人も入ってきていないので私も探しに行こうかと迷っていたところです。あれ?木更津さんと和尚さんは?もしかしてまだ見つかっていないとか?
(12/04 13:45)
牟田 萌花
ただいまでぇす。木更津さんと店長は病院にマルちゃんを連れていって、和尚さんは警察に……
(12/04 13:46)
古⾕ 樹
え?警察?
(12/04 13:47)
牟田 萌花
和尚さんなのにハーレー四人乗せで捕まったんですよぉ
坊主さん…… (12/04 13:47)
坊主さん…… (12/04 13:47)
古⾕ 樹
和尚さんみたいな方がどうして…??
(12/04 13:48)
古⾕ 樹
ああ、なるほど
(12/04 13:48)
牟田 萌花
マルちゃん、かなり重傷みたいでぇ……
血まみれの姿を見たときは、びっくりしちゃいました…… (12/04 13:49)
血まみれの姿を見たときは、びっくりしちゃいました…… (12/04 13:49)
古⾕ 樹
確かにそういえば、あのバイクですもんね。あまりにも堂々としていたので2人で乗って1人は歩いていたのかと思っていたんですけど
(12/04 13:49)
古⾕ 樹
は?重症?びょ、病院は??
(12/04 13:49)
牟田 萌花
全員乗せられましたねぇ……
(12/04 13:50)
牟田 萌花
今診察して貰ってるんですけど、心配ですね
(12/04 13:50)
古⾕ 樹
えっと、すみません。私の頭では追いつけず。つまり、三人乗りしてマルちゃんを発見。マルちゃんは重症で、店長も見つかった。4人乗りして動物病院へ。和尚さんは警察に?
(12/04 13:51)
牟田 萌花
そうですそうです!
(12/04 13:52)
古⾕ 樹
ええ??
(12/04 13:52)
牟田 萌花
色々大変な状況なんですよねぇ
(12/04 13:53)
古⾕ 樹
なんというか。その、お疲れ様です。マルちゃんと和尚さん、大丈夫だといいんですが
(12/04 13:53)
牟田 萌花
でも、すぐにマルちゃん見つかって良かったですぅ
(12/04 13:53)
古⾕ 樹
それは本当にそうですね。あとは皆さんの帰りを待ちましょうか。
(12/04 13:54)
椎名
ただいま戻りました……マルは入院に……
(12/04 13:54)
古⾕ 樹
店長!お帰りなさい。
(12/04 13:55)
牟田 萌花
そういえば、マルちゃんが見つかったの、私の家の近くだったんですよねぇ……
なんでだろう…… (12/04 13:55)
なんでだろう…… (12/04 13:55)
椎名
……………え?
(12/04 13:55)
木更津ルリ
戻ってきちゃったー、もうちょっと時間かかってもよかったのに♡
(12/04 13:55)
古⾕ 樹
マルちゃん、入院ですか。話は聞きました。ホットミルクでも入れますから座ってください。
(12/04 13:55)
牟田 萌花
は!店長お帰りなさい!
(12/04 13:55)
椎名
牟田さん、今、なんて言いました?
(12/04 13:56)
古⾕ 樹
木更津さんもお帰りなさい。お疲れ様です
(12/04 13:56)
木更津ルリ
やだー、店長顔怖い!
(12/04 13:56)
古⾕ 樹
とりあえず見つかってよかった。でも、どうして入院レベルの怪我なんて
(12/04 13:56)
木更津ルリ
でもそれも格好いい!
(12/04 13:56)
椎名
ねぇ、今、あなたの家の近くって言いましたよね。もしかして、またあなたが連れて行ったんですか!?
(12/04 13:56)
牟田 萌花
あ、えと、私の家の近くで見つかったって……
(12/04 13:56)
椎名
牟田さんッ!!!
(12/04 13:57)
古⾕ 樹
戻りました。ホットミルク、入れましたが。
(12/04 13:57)
牟田 萌花
そ、そんなこと!私は昨日心を入れ替えたので!
(12/04 13:57)
浄堂
やれやれ、みなさん心配させてしまい申し訳ありません。無事戻ってまいりました
(12/04 13:57)
古⾕ 樹
えっと、一体どうしたんですか
(12/04 13:57)
椎名
じゃあどうしてマルがあなたの家の近くにいたんですか……!?
(12/04 13:57)
浄堂
免停になりました、、、
(12/04 13:58)
木更津ルリ
え、むっちゃん、実は悪い人だったってこと?
(12/04 13:58)
古⾕ 樹
和尚さん。あれ?連れて行かれたと聞きましたが?大丈夫だったんですか?
(12/04 13:58)
牟田 萌花
それは、分かりませんけど……
(12/04 13:58)
牟田 萌花
でも私はやってないです!
(12/04 13:59)
浄堂
警察は頭が固くて困りますよ、、、
(12/04 13:59)
椎名
牟田さん、マルはミルクじゃないって言いましたよね。マルは、僕の大切な猫なんです。
(12/04 13:59)
浄堂
マル?ヘルガーでは?
(12/04 14:00)
牟田 萌花
もうマルちゃんとミルクを同じだと思ってませんよ!
店長の大切なパートナーだってことも分かってます! (12/04 14:00)
店長の大切なパートナーだってことも分かってます! (12/04 14:00)
古⾕ 樹
店長、一度落ち着いてください。昨日の夜は牟田さんは店長よりも先に帰られていましたし、その可能性は低いですよ
(12/04 14:01)
椎名
……………なら、いいですが……
(12/04 14:01)
古⾕ 樹
ただの偶然かもしれませんし、一度座ってください。
(12/04 14:01)
古⾕ 樹
はい、ホットミルク。お疲れ様です。今はマルちゃんが元気になることを待ちましょう
(12/04 14:02)
牟田 萌花
でも、誤解されてるのも私が悪いことしたからなんですよねぇ……
ごめんなさい (12/04 14:02)
ごめんなさい (12/04 14:02)
浄堂
すっかりピザも冷めてしまいました、、、
(12/04 14:02)
椎名
ありがとうございます……。牟田さん、突然疑ってしまって、申し訳ありませんでした……。
(12/04 14:02)
古⾕ 樹
和尚さん、焼き直しますね。
(12/04 14:03)
浄堂
ありがとうございます、古谷さん
(12/04 14:04)
牟田 萌花
いえ!店長の気持ち、私もよく分かります。
ミルクのようにならずに、病院から帰ってきてくれるといいですよねぇ (12/04 14:04)
ミルクのようにならずに、病院から帰ってきてくれるといいですよねぇ (12/04 14:04)
古⾕ 樹
いえいえ、警察に連れていかれたと聞いて心配でしたが、和尚さんもご無事でよかったです
(12/04 14:04)
木更津ルリ
猫ちゃん、命に別状ないらしいし、よかったよね!
(12/04 14:05)
椎名
きまz…………、いえ、ありがとうございます。今は無事を祈るばかりです。
(12/04 14:05)
牟田 萌花
別状ないなら安心ですねぇ
早く戻ってきてくれるといいですね! (12/04 14:07)
早く戻ってきてくれるといいですね! (12/04 14:07)
椎名
はい、ありがとうございます。
(12/04 14:07)
牟田 萌花
でも、どうして私の家の近くに行っちゃったんだろう……
(12/04 14:07)
木更津ルリ
マルとミルク、実は兄弟だったんじゃね? 気配感じた的な?
(12/04 14:08)
椎名
皆さん何かおひとつ、何でもおっしゃってください。お代はとりません。
(12/04 14:09)
浄堂
そういえば、この間中国料理で猫のスープを飲みましたよ。美味しかったなぁ
(12/04 14:09)
椎名
それは……本当に何ででしょうね……。マルは元野良ですから、外に出たかったのかな
(12/04 14:09)
木更津ルリ
こいつ……もう坊主やめろよ
(12/04 14:10)
牟田 萌花
マルちゃんとお話ができれば、戻ってきたら聞けるのになぁ
(12/04 14:10)
牟田 萌花
あ、じゃあ私はカフェラテ飲みたいですぅ
(12/04 14:11)
古⾕ 樹
はい、カフェラテですね。他の皆さんは?
(12/04 14:11)
椎名
かしこまりました
(12/04 14:11)
浄堂
マルゲリータ二つで
(12/04 14:12)
椎名
…………??ん?
(12/04 14:13)
木更津ルリ
いちごパフェ!ください!
(12/04 14:13)
他では滅多に感じ得ない、鼻を刺すような匂いがする。身動きが取れないほど、身体が痛い。目を開けるために瞼を少し振り被らないといけなかった。
病院は嫌いだ。何より、今自分がいるこの仄暗い囲いが好きではない。ここにいると、猫ではない他の動物の悲鳴が鼓膜の奥へと入り込んでくる。それらがここでの痛みを思い出させるのだ。よく店長はここに来ると「マルのためだから」とさも優しげに言う。
身体中の皮膚が裂けている感触が確かにする。動けない代わりに耳を澄ませる。密やかな寝息がいくつも重なって、人の足音がそれらを掻き消した。病院に来た経験がある動物は皆すべからく怯えている。それが怒りになるのか、恐れになるのかは動物によってそれぞれだ。
手慣れた手が、自分を抱き上げる。されるがままだと職員も嫌な顔をしない。いや抵抗しても頑なに声だけは優しい。しかし手には徐々に力が籠る。傷がなくても痛いほどなのに、今の身体でそんなことをされたらと思うと考えたくもない。どう言う風にしたら表情や声と手の力をそこまで綺麗に分けられるのだろう。もしそれができれば、自分はあの黒猫に一太刀浴びせることができたかも知れない。覚えたふりをして、爪を忍ばせて、目でも、頭でも身体でもぶつけてあとは逃げればいいのだ。
抱き上げられている間もずっと同じ匂いが鼻先を掠める。何か生物から生み出されているような気配をまるで感じられないのが、この匂いの特徴だった。しかしコーヒーやミルクとは違う。ミルクもコーヒーも元々は生き物から生まれているのだから、それはそうなのかも知れない。しかしもっと物質的な違いを感じる。かろうじて分かるのは、この匂いの中に死臭が混じっていることだ。
猫の死臭はそれ自体が強烈な匂いを放つのもそうだが、ずっとそこに残り続ける。店に来る前にいた檻の中はいつもその匂いに満ちていた。あとは糞と尿の空気。そこに確かにいた別の猫の欠片がそうしてじっとりと、壁やブランケットに滲んでいた。店長の元に転がり込んでから知ったがあの場所は猫を最終的に殺す場所だったらしい。
自分のように傷つけられたりはしない。人には人の死なせ方がある。それがあの匂いの源だった。だから死臭の匂いには人の手に息を潜めている死の感覚を感じる。全く敵意なくまるであやすような顔で、簡単に猫を殺せるのではないかとその匂いはそんな恐れを抱かせる。
撫でられるのは別にどうとも思わない。昔は触れられるたびに店長の腕に爪を立てていたが、不思議とあの場所にいると徐々にそういう気持ちが薄れていく。そしてまた今日その場所に自分は帰ってきた。 いつものように扉で離してはもらえなかった。目を細める。店長のこの手の感触はさっきの病院の職員の手と似ている。その先にあるのはやっぱり、なんでもないような顔で、猫を殺す時の手だ。大きなケージの扉が閉まる。その瞬間に強引に抜け出そうとしたが、店長は強引にケージに私を押し込んだ。店長の爪が頬を掠めて、僅かに血が滴る。初めて店長が自分に傷をつけた。しかし店長は何も知らない顔で、今日も開店の準備を始めた。
病院は嫌いだ。何より、今自分がいるこの仄暗い囲いが好きではない。ここにいると、猫ではない他の動物の悲鳴が鼓膜の奥へと入り込んでくる。それらがここでの痛みを思い出させるのだ。よく店長はここに来ると「マルのためだから」とさも優しげに言う。
身体中の皮膚が裂けている感触が確かにする。動けない代わりに耳を澄ませる。密やかな寝息がいくつも重なって、人の足音がそれらを掻き消した。病院に来た経験がある動物は皆すべからく怯えている。それが怒りになるのか、恐れになるのかは動物によってそれぞれだ。
手慣れた手が、自分を抱き上げる。されるがままだと職員も嫌な顔をしない。いや抵抗しても頑なに声だけは優しい。しかし手には徐々に力が籠る。傷がなくても痛いほどなのに、今の身体でそんなことをされたらと思うと考えたくもない。どう言う風にしたら表情や声と手の力をそこまで綺麗に分けられるのだろう。もしそれができれば、自分はあの黒猫に一太刀浴びせることができたかも知れない。覚えたふりをして、爪を忍ばせて、目でも、頭でも身体でもぶつけてあとは逃げればいいのだ。
抱き上げられている間もずっと同じ匂いが鼻先を掠める。何か生物から生み出されているような気配をまるで感じられないのが、この匂いの特徴だった。しかしコーヒーやミルクとは違う。ミルクもコーヒーも元々は生き物から生まれているのだから、それはそうなのかも知れない。しかしもっと物質的な違いを感じる。かろうじて分かるのは、この匂いの中に死臭が混じっていることだ。
猫の死臭はそれ自体が強烈な匂いを放つのもそうだが、ずっとそこに残り続ける。店に来る前にいた檻の中はいつもその匂いに満ちていた。あとは糞と尿の空気。そこに確かにいた別の猫の欠片がそうしてじっとりと、壁やブランケットに滲んでいた。店長の元に転がり込んでから知ったがあの場所は猫を最終的に殺す場所だったらしい。
自分のように傷つけられたりはしない。人には人の死なせ方がある。それがあの匂いの源だった。だから死臭の匂いには人の手に息を潜めている死の感覚を感じる。全く敵意なくまるであやすような顔で、簡単に猫を殺せるのではないかとその匂いはそんな恐れを抱かせる。
撫でられるのは別にどうとも思わない。昔は触れられるたびに店長の腕に爪を立てていたが、不思議とあの場所にいると徐々にそういう気持ちが薄れていく。そしてまた今日その場所に自分は帰ってきた。 いつものように扉で離してはもらえなかった。目を細める。店長のこの手の感触はさっきの病院の職員の手と似ている。その先にあるのはやっぱり、なんでもないような顔で、猫を殺す時の手だ。大きなケージの扉が閉まる。その瞬間に強引に抜け出そうとしたが、店長は強引にケージに私を押し込んだ。店長の爪が頬を掠めて、僅かに血が滴る。初めて店長が自分に傷をつけた。しかし店長は何も知らない顔で、今日も開店の準備を始めた。
執筆者: sanzen | 2023/12/10 09:13
椎名
いらっしゃいませ。あ、聞いて。マルが今日退院してきたんだ。でも、まだケージから絶対出さないでね。絶対。
(12/11 13:15)
古⾕ 樹
店長、砂糖やケチャップ、買ってきましたよ。おや、いらっしゃいませ。今日は冷えますね。
(12/11 13:17)
椎名
うん、ありがとう
(12/11 13:18)
牟田 萌花
えぇ! マルちゃん帰ってきたんですかぁ!
どこにいます?? (12/11 13:20)
どこにいます?? (12/11 13:20)
椎名
店の奥のキャットタワーの近くにいるよ。
キャットタワーの周り、柵で囲ってあるから暫くは立ち入らないでね。ごめん。 (12/11 13:21)
キャットタワーの周り、柵で囲ってあるから暫くは立ち入らないでね。ごめん。 (12/11 13:21)
牟田 萌花
やっぱり、まだ安静にしてないとですもんねぇ……。
でも、帰ってきて良かったですよねぇ! (12/11 13:22)
でも、帰ってきて良かったですよねぇ! (12/11 13:22)
古⾕ 樹
本当にそうですね。しばらくは安静でマルくんも窮屈そうですが、こればかりは仕方ないですからね
(12/11 13:23)
浄堂
おはようございます、いつもので。
(12/11 13:25)
牟田 萌花
ですよねぇ。今日は眺めるだけにしておきまぁす
(12/11 13:26)
古⾕ 樹
和尚さん、こんにちは。いつものですね。今から焼き始めますので少々お待ちください
(12/11 13:26)
浄堂
これはこれは五重塔が建っていますね。店長も仏門に入るのですか?
(12/11 13:27)
椎名
はは、このキャットタワーをそう言われたのは初めてです。仏門……そうですね、仏門は遠慮しておきます。
(12/11 13:29)
椎名
今回は……まるがトラウマをだいぶ思い出してしまったらしくて。
なんでこんなことになってしまったのかわかるまではちょっと、仏門には下れません。 (12/11 13:32)
なんでこんなことになってしまったのかわかるまではちょっと、仏門には下れません。 (12/11 13:32)
古⾕ 樹
ああ、先ほどから中にこもってしまっているのはそういうことでしたか。そうですよね。嫌ですよね、病院の後に外に出るのは。
(12/11 13:34)
牟田 萌花
トラウマ?
やっぱりミルクの話したから思い出しちゃったんですかねぇ……? (12/11 13:34)
やっぱりミルクの話したから思い出しちゃったんですかねぇ……? (12/11 13:34)
牟田 萌花
マルちゃんって、どうやってこのお店に来たんですか?
(12/11 13:36)
椎名
いや、元々まるは野良なんだけど、病院が大っっ嫌いでさ。
病院に行くと保健所に入れられちゃった時のこと思い出しちゃうんだ (12/11 13:41)
病院に行くと保健所に入れられちゃった時のこと思い出しちゃうんだ (12/11 13:41)
浄堂
野良から店長に拾われたということですか、いやはや、、、
(12/11 13:42)
浄堂
運命ですね
(12/11 13:42)
椎名
はは、そう言ってくれると嬉しいな
(12/11 13:44)
木更津ルリ
えー、ルリも店長に拾われたーい♡
(12/11 13:44)
牟田 萌花
病院は嫌がりますよねぇ。
(12/11 13:44)
椎名
うわっ、いつからいた!?
(12/11 13:44)
椎名
いらっしゃいませ
(12/11 13:44)
古⾕ 樹
いらっしゃいませ。いつの間にこられたんですね
(12/11 13:45)
木更津ルリ
ずっといたのにー、気づいてくれないなんてひどいです!店長♡
(12/11 13:45)
牟田 萌花
ミルクも病院行くの嫌がったので、結局病院に行くの諦めて自分で看病したんですよねぇ
(12/11 13:45)
椎名
ご、ごめん……。ルリちゃん
(12/11 13:46)
木更津ルリ
むっちゃん、猫の看病とかできんの?
(12/11 13:48)
牟田 萌花
うーん、微妙ですねぇ
前はミルクにコーヒーあげたりしましたけど、今はそれが駄目だと分かったので、コーヒーの代わりに別の大丈夫なものをあげるようにすれば看病できるかもです (12/11 13:50)
前はミルクにコーヒーあげたりしましたけど、今はそれが駄目だと分かったので、コーヒーの代わりに別の大丈夫なものをあげるようにすれば看病できるかもです (12/11 13:50)
浄堂
ルリさん、人は拾えませんよ。
(12/11 13:51)
浄堂
RPGのアイテムじゃないんですから
(12/11 13:51)
木更津ルリ
は?
(12/11 13:54)
古⾕ 樹
和尚さん、いつものお持ちいたしました。
(12/11 13:54)
古⾕ 樹
木更津さん、ご注文はどうされますか?
(12/11 13:54)
古⾕ 樹
牟田さんもお決まりですか?
(12/11 13:56)
木更津ルリ
今日はー、店長のおすすめでお願いします♡
(12/11 13:56)
浄堂
いやー、ここのマルゲリータは絶品ですね。
(12/11 13:57)
牟田 萌花
じゃあ、私はラテアートで、マルちゃん描いてもらうことってできますぅ?
(12/11 13:57)
椎名
うーん、『クリームシチューの猫耳を添えて』かな。寒いしね。
(12/11 13:57)
椎名
できるよ! ラテアートですね。かしこまりました。
(12/11 13:58)
木更津ルリ
え、めっちゃ素敵!それでお願いします♡
(12/11 13:58)
牟田 萌花
やったぁ! ありがとうございまぁす!
(12/11 13:59)
椎名
よし! できた。古谷くん、持って行ってもらってもいい?
(12/11 14:00)
古⾕ 樹
かしこまりました。『クリームシチューの猫耳を添えて』と『まる君のラテアート』です。
(12/11 14:04)
牟田 萌花
ありがとうございます! うわぁ、マルちゃんそっくりでかわいいですねぇ
(12/11 14:05)
椎名
まるちゃんだけどね
(12/11 14:05)
木更津ルリ
店長の手作り!ありがとうございまーす♡
(12/11 14:06)
牟田 萌花
見て見てマルちゃん、こっちのマルちゃんもかわいいですよぉ~
(12/11 14:06)
浄堂
ヘルガーですよね
(12/11 14:07)
椎名
まるだから
(12/11 14:08)
古⾕ 樹
ああ、すみません。女性に「ちゃん」とつけるとセクハラだのなんだの色々言われかねなくて。「まるちゃんのラテアート」ですね
(12/11 14:08)
牟田 萌花
マルちゃん、お腹すいてるんですかぁ?
ごめんね、これはもうあげられないんですよぉ (12/11 14:09)
ごめんね、これはもうあげられないんですよぉ (12/11 14:09)
木更津ルリ
え、あの猫ちゃん女の子だったの!?
(12/11 14:09)
椎名
ま、まるは女の子だよ?
(12/11 14:10)
牟田 萌花
マルちゃんも女の子だったんですねぇ。
だからちょっと小さめなんだねぇ。 (12/11 14:12)
だからちょっと小さめなんだねぇ。 (12/11 14:12)
木更津ルリ
てことは……ライバルじゃん!?
(12/11 14:13)
木更津ルリ
店長、女の子と一緒に暮らしてるとか聞いてないんですけど!!!
(12/11 14:13)
牟田 萌花
猫もライバルに入るんですねぇ!?
(12/11 14:14)
椎名
!!?
(12/11 14:14)
古⾕ 樹
猫もライバル判定なんですね
(12/11 14:14)
椎名
ご、ごめん……!!!?まるが一番大事だから……!!
(12/11 14:14)
浄堂
ヘルガーじゃなかったのか、、、じゃあこの猫はなんなんだ?
(12/11 14:15)
牟田 萌花
そりゃそうですよねぇ~
マルちゃん、怪我早く治したら店長喜んでくれますよぉ (12/11 14:18)
マルちゃん、怪我早く治したら店長喜んでくれますよぉ (12/11 14:18)
冷えたケージの底に預けた身体に日差しが差し込んだ。朝の匂い。微かに聞こえる外の世界の音。店長が私をケージに入れてから一周間が経とうとしていた。
私がいなかったからと言って、別に変わったことはない。時折いつもの場所にいない自分のことを口にするものもいたが、店長が理由を話してそれで会話が終わる。正直に理由を話しているのだから、店長に非はないし別に糾弾されるべきことでもない。
誰かの足音が近付くたびに、その足音の姿や形を思い浮かべた。そして知っている足音が知らない音調になって来ることを何よりも恐れた。知らない人の足音よりも、そっちの方がずっと恐ろしいことを私は知っている。何か心変わりがあったと知っている。
「心変わり」があったときの人の行為は大抵猫にとって利点にはならない。病院に行かされたり、慣れないどこかに連れて行かれたり、お風呂に入れさせられたり、何かを決意しようとしていつもの自分とは違う気配を纏っている。それが心変わりの足音なのだ。
店長はこの心変わりを隠すのが壊滅的に下手だった。上手く装っているつもりでも、音を殺すという行為が基本的にできない。そういう意味ではもう一人の従業員の方が隠すのは上手だ。もし店長が野良猫だったら、自分よりも生きていけなかっただろう。実際そういう猫はいる。全部の猫がうまく立ち回って生きられるほど、野良猫の社会は甘くできていない。
何人かいた自分の兄弟や姉妹の中に店長によく似た猫が何匹かいた。そういう猫は大抵親離れが遅い。だから足音や気配の感情を消すことや他に頼らない生活に慣れていない。中でも最後まで母猫にひっついていた猫は親離れしてすぐに近くを縄張りにする黒猫に甘えて、そのまま襲われて死んだ。
猫の子供と人の子供の違いはそういう愛情の十分さもあるだろう。牟田ぐらいの年齢はおそらく猫で言うともう親離れをしていないといけない時期なのだ。人には猫の一生くらいの猶予期間がある。おまけに死と言う恐怖もだいぶ遠く離れた場所にある。だから猫に比べると時間感覚に疎くなる。
しばらくケージの中でじっとしていると、店長がお店の扉を開ける。ケージに入ってからはなるべく刺激しないためか、餌を置くとそそくさとケージを閉めるので脱出する隙もない。店長が何を言っても抑揚のない、うやうやとした声に聞こえた。元々ある距離感が猫と人の適切な距離だとは思えなかったが、その時間が長くそして居心地が良すぎたのだ。そのせいで、いつの間にか何か特別な状況になった時、人に対して必要以上に攻撃的になってしまう。
餌を持って来るたびに私は店長の手を噛みついたり、引っ掻いたりした。数を重ねるにつれて、傷だらけになる手が怯えて引っ込んでいくスピードが速くなる。まるで母猫の鋭い目つきに怯える子猫のように。
それでもひつこく手に噛みついた。それからケージの網が削れて壊れるまで、噛み付くこともあった。そう言うことでしか距離感の変化を表現することができなかった。猫が一番飼い主に言葉を伝えられる方法の一つは攻撃なのだと実感しつつあった。しかし店長は餌やりも水やりもやめなかった。いつかは捨てられて、外の世界にたどり着けるだろうとなんとなく考えていたがその日はいつになっても来なかった。
ケージから見ていても、店長は日常生活に支障をきたすほど手を傷だらけにしていた。店員と話しながらでも、皿を洗っている時に声が軋んでいたし、ケージに近付くと絆創膏だらけの手をいつも気にしている。
ケージから出る時もリードをつけられて、店の限られた範囲でしか動けなかった。いつの間にかキャットタワーが置かれていたがそれには興味持てない。結局店長と自分の関係は変わらないのだから。夜になると少しずつリードを削る生活が始まった。また店の影が浮かんでくる。朝は近い。店長が店を出る前に飲んだ珈琲の残り香が、生爪に纏わりついていた。
私がいなかったからと言って、別に変わったことはない。時折いつもの場所にいない自分のことを口にするものもいたが、店長が理由を話してそれで会話が終わる。正直に理由を話しているのだから、店長に非はないし別に糾弾されるべきことでもない。
誰かの足音が近付くたびに、その足音の姿や形を思い浮かべた。そして知っている足音が知らない音調になって来ることを何よりも恐れた。知らない人の足音よりも、そっちの方がずっと恐ろしいことを私は知っている。何か心変わりがあったと知っている。
「心変わり」があったときの人の行為は大抵猫にとって利点にはならない。病院に行かされたり、慣れないどこかに連れて行かれたり、お風呂に入れさせられたり、何かを決意しようとしていつもの自分とは違う気配を纏っている。それが心変わりの足音なのだ。
店長はこの心変わりを隠すのが壊滅的に下手だった。上手く装っているつもりでも、音を殺すという行為が基本的にできない。そういう意味ではもう一人の従業員の方が隠すのは上手だ。もし店長が野良猫だったら、自分よりも生きていけなかっただろう。実際そういう猫はいる。全部の猫がうまく立ち回って生きられるほど、野良猫の社会は甘くできていない。
何人かいた自分の兄弟や姉妹の中に店長によく似た猫が何匹かいた。そういう猫は大抵親離れが遅い。だから足音や気配の感情を消すことや他に頼らない生活に慣れていない。中でも最後まで母猫にひっついていた猫は親離れしてすぐに近くを縄張りにする黒猫に甘えて、そのまま襲われて死んだ。
猫の子供と人の子供の違いはそういう愛情の十分さもあるだろう。牟田ぐらいの年齢はおそらく猫で言うともう親離れをしていないといけない時期なのだ。人には猫の一生くらいの猶予期間がある。おまけに死と言う恐怖もだいぶ遠く離れた場所にある。だから猫に比べると時間感覚に疎くなる。
しばらくケージの中でじっとしていると、店長がお店の扉を開ける。ケージに入ってからはなるべく刺激しないためか、餌を置くとそそくさとケージを閉めるので脱出する隙もない。店長が何を言っても抑揚のない、うやうやとした声に聞こえた。元々ある距離感が猫と人の適切な距離だとは思えなかったが、その時間が長くそして居心地が良すぎたのだ。そのせいで、いつの間にか何か特別な状況になった時、人に対して必要以上に攻撃的になってしまう。
餌を持って来るたびに私は店長の手を噛みついたり、引っ掻いたりした。数を重ねるにつれて、傷だらけになる手が怯えて引っ込んでいくスピードが速くなる。まるで母猫の鋭い目つきに怯える子猫のように。
それでもひつこく手に噛みついた。それからケージの網が削れて壊れるまで、噛み付くこともあった。そう言うことでしか距離感の変化を表現することができなかった。猫が一番飼い主に言葉を伝えられる方法の一つは攻撃なのだと実感しつつあった。しかし店長は餌やりも水やりもやめなかった。いつかは捨てられて、外の世界にたどり着けるだろうとなんとなく考えていたがその日はいつになっても来なかった。
ケージから見ていても、店長は日常生活に支障をきたすほど手を傷だらけにしていた。店員と話しながらでも、皿を洗っている時に声が軋んでいたし、ケージに近付くと絆創膏だらけの手をいつも気にしている。
ケージから出る時もリードをつけられて、店の限られた範囲でしか動けなかった。いつの間にかキャットタワーが置かれていたがそれには興味持てない。結局店長と自分の関係は変わらないのだから。夜になると少しずつリードを削る生活が始まった。また店の影が浮かんでくる。朝は近い。店長が店を出る前に飲んだ珈琲の残り香が、生爪に纏わりついていた。
執筆者: sanzen | 2023/12/16 16:14
木更津ルリ
店長ー、おはようございます♡
(12/18 13:16)
木更津ルリ
え!綺麗な手が傷だらけ!!!どうしたんですか!!!!
(12/18 13:17)
椎名
まるがあああああああああ
うっ、うっ…………
まだ痛むのか、ずっと気が立ってて……
大丈夫かなぁ……大丈夫かな〜〜〜 (12/18 13:17)
うっ、うっ…………
まだ痛むのか、ずっと気が立ってて……
大丈夫かなぁ……大丈夫かな〜〜〜 (12/18 13:17)
木更津ルリ
ちょっと??? 店長の体に傷つけるとか、許さないんですけど、この猫
(12/18 13:19)
椎名
まだ本調子じゃないし、ケージから出すとすぐ逃げ出すからケージに入れておかないといけなくて
(12/18 13:20)
椎名
まる…………………まるぅ……………………
うっ、うっ (12/18 13:20)
うっ、うっ (12/18 13:20)
牟田 萌花
おはようございまぁす!
マルちゃあん、身体の具合どう~? (12/18 13:21)
マルちゃあん、身体の具合どう~? (12/18 13:21)
椎名
早くお前を抱きしめたいよ……
(12/18 13:21)
木更津ルリ
ルリが躾けてあげましょうか?猫ちゃんのこと♡
(12/18 13:21)
椎名
あ、いらっしゃいませ
ごめん、ルリちゃんにも言ってなかったね……。いらっしゃいませ (12/18 13:22)
ごめん、ルリちゃんにも言ってなかったね……。いらっしゃいませ (12/18 13:22)
椎名
いや、怖いからやめて
(12/18 13:22)
牟田 萌花
マルちゃん、まだケージから出せない感じですかぁ?
(12/18 13:24)
木更津ルリ
店長、料理できないならー、ルリが手伝いますよ♡
(12/18 13:24)
椎名
んー……出してもいいんだけど、店から逃げ出そうとするんだ……
(12/18 13:25)
牟田 萌花
私も、マルちゃんの餌やり手伝いましょうかぁ?
(12/18 13:25)
椎名
……どっか、行きたいところでもあるのかな……
(12/18 13:25)
浄堂
涅槃ですかね?
(12/18 13:25)
牟田 萌花
なるほどぉ。
ミルクもよくどこかに行ってましたし、あるかもしれないですねぇ (12/18 13:25)
ミルクもよくどこかに行ってましたし、あるかもしれないですねぇ (12/18 13:25)
木更津ルリ
じゃあ連れてってあげたらいいと思いまーす♡
(12/18 13:26)
椎名
うわぁっ、い、いらっしゃいませ
(12/18 13:26)
椎名
まるが行きたいところ……
(12/18 13:26)
椎名
皆さんにお願いがあるんですけど
(12/18 13:26)
木更津ルリ
何ですか?ルリ、店長のお願いなら何でも聞きます♡
(12/18 13:27)
牟田 萌花
なんですかぁ?
(12/18 13:27)
浄堂
聞いてあげましょう
(12/18 13:28)
浄堂
言ってみなさい
(12/18 13:28)
椎名
マルを外に出して、ついていこうかなって……。
お客さんにこんなこと言うのも失礼なのはわかってはいるのですが、一緒についていってくれませんか? (12/18 13:29)
お客さんにこんなこと言うのも失礼なのはわかってはいるのですが、一緒についていってくれませんか? (12/18 13:29)
浄堂
おやおや
(12/18 13:30)
牟田 萌花
いいですねぇ! マルちゃんのためなら協力しますぅ!
(12/18 13:30)
木更津ルリ
もちろん! ルリと店長以外の人は店に残ってていいですよ♡
(12/18 13:30)
浄堂
仕方ありませんねぇ、私のハーレーで、、、
(12/18 13:30)
椎名
ありがとうございます……!!
(12/18 13:31)
牟田 萌花
いやいやルリさん、私たちも行きますよぉ!
(12/18 13:31)
椎名
え、古谷さん、残ってくれるの……!? ありがとう。そしたら、頼んでもいいかな。お願いします。
(12/18 13:32)
浄堂
私と店長以外は店に残っていて良いですよ、ルリさん
(12/18 13:33)
椎名
怖いよ
(12/18 13:33)
木更津ルリ
坊主、もしかして……
(12/18 13:34)
浄堂
なんですと!?
(12/18 13:34)
牟田 萌花
そんなことより早く行きましょうよぉ
(12/18 13:34)
浄堂
では私のハーレー2号で、、、
(12/18 13:34)
椎名
まる、おいで……首輪つけさせて……痛たッ
そうそう、ありがと……よしよし (12/18 13:35)
そうそう、ありがと……よしよし (12/18 13:35)
椎名
歩いていくんですけどね……
(12/18 13:35)
牟田 萌花
マルちゃん、怖くないですからねぇ
(12/18 13:35)
木更津ルリ
ちょっと!この猫、なんでこんなに店長に噛み付くの!?
(12/18 13:36)
牟田 萌花
私たち皆、マルちゃんの味方ですよぉ
(12/18 13:36)
浄堂
マルさん、怖くないですよ
さぁこちらへ (12/18 13:36)
さぁこちらへ (12/18 13:36)
椎名
皆、ありがとう
(12/18 13:38)
椎名
本当に、ありがとう
(12/18 13:38)
牟田 萌花
いえいえ! さぁ、マルちゃんどこ行きますかぁ?
(12/18 13:39)
椎名
じゃあ、古谷くんよろしくね
いってきます! (12/18 13:41)
いってきます! (12/18 13:41)
浄堂
このアイスクリームは美味しいですねぇ
(12/18 13:44)
椎名
今の間にあの通りで売ってたアイスクリーム屋さんで買ってきたんですか??
(12/18 13:45)
木更津ルリ
あー、店長と二人っきりだったら、もっと幸せなのに!
(12/18 13:46)
浄堂
Exactly
(12/18 13:46)
牟田 萌花
こっちの方向だと、何があるんでしょうねぇ
(12/18 13:46)
椎名
この通り、なんか見たことあるような……?
(12/18 13:47)
浄堂
夢で見たのでしょうか
(12/18 13:48)
牟田 萌花
私もこっちは行ったことあるんですけど、大分昔なのであんまり覚えてないですねぇ
(12/18 13:48)
牟田 萌花
駅とは逆方向ですよね?
(12/18 13:50)
椎名
そうだよね
(12/18 13:50)
椎名
まるはどこに行きたいんだろ?
(12/18 13:51)
椎名
ルリちゃんはこの通り来たことある?
(12/18 13:51)
木更津ルリ
え、っと〜……
(12/18 13:52)
木更津ルリ
内緒です♡
(12/18 13:52)
浄堂
私は来た事ありますぞ!
(12/18 13:53)
椎名
え? そっかぁ……
(12/18 13:53)
椎名
あれ?あそこにある看板、本当に見覚えがある
(12/18 13:54)
椎名
なんだっけ、なんで見覚えがあるんだっけ
(12/18 13:54)
椎名
錆びてて全然読めない……読める?
(12/18 13:55)
牟田 萌花
うーん、確かに読みづらいですけどぉ
(12/18 13:56)
牟田 萌花
私、この文字読んだことあります。確か、行き止まりって書いてあるんですよ
(12/18 13:56)
牟田 萌花
でも、ここを抜けて向こうに行った記憶があります!
(12/18 13:57)
椎名
行き止まり……!
(12/18 13:58)
牟田 萌花
どうしますぅ?
(12/18 13:58)
椎名
そうだ、俺も……
(12/18 13:58)
椎名
まる、こっちいくの?
…………いくみたいだね (12/18 13:58)
…………いくみたいだね (12/18 13:58)
浄堂
私のハーレー2号で破壊しますか?
(12/18 13:58)
牟田 萌花
よぉし、マルちゃん行け~!
(12/18 13:59)
椎名
なんで持ってきてるんですか
(12/18 13:59)
椎名
いこうか、ルリちゃん、牟田さん、足元気をつけて
(12/18 14:01)
牟田 萌花
はぁい
(12/18 14:01)
木更津ルリ
え〜!!心配してくれるなんて優しい♡
(12/18 14:02)
椎名
まさかこんな森の中に来るとは思ってなかったからね……
(12/18 14:03)
木更津ルリ
確かに、めっちゃ森ですね! 何なの、ここ
(12/18 14:04)
牟田 萌花
ですねぇ……
マルちゃん、まだ奥に行くんですかぁ? (12/18 14:04)
マルちゃん、まだ奥に行くんですかぁ? (12/18 14:04)
椎名
そうだ……確かここって……まると初めて会ったところじゃ……
(12/18 14:11)
牟田 萌花
え、店長もですかぁ!?
(12/18 14:11)
椎名
牟田さんも……?
(12/18 14:12)
木更津ルリ
すごい、綺麗な広場!
(12/18 14:12)
椎名
あ、まる……!?
待って……!!なんで首輪外れて…… (12/18 14:12)
待って……!!なんで首輪外れて…… (12/18 14:12)
牟田 萌花
私もここでミルクを拾ったんですよ!
(12/18 14:14)
牟田 萌花
マルちゃん、先に行かないで!?
(12/18 14:14)
椎名
え……!!?
(12/18 14:14)
椎名
なんか、まる、輝いてない……!?
(12/18 14:15)
牟田 萌花
あれぇ、これ、私の目が可笑しいんですかねぇ?
(12/18 14:15)
牟田 萌花
店長も輝いて見えます?
(12/18 14:15)
木更津ルリ
いや、マジで光ってるんだけど!?
(12/18 14:15)
椎名
あそこにいる、別の白い猫は……?
(12/18 14:16)
木更津ルリ
何々何!? もう何が起きてんのかわからん!
(12/18 14:16)
牟田 萌花
……ミルク?
(12/18 14:16)
浄堂
やはりあの方は、、、、
(12/18 14:18)
浄堂
涅槃に至られるのですね、、、
(12/18 14:25)
なぜ今になって、外に出ることができたのだろう。首輪は嫌いだ。人の足と猫の足は違う。身を寄せ合っていても、それぞれに流れている「時間」の感覚が違うから、同じように生きていることなんてできないと今でも思う。
昨日猫と人が同じような時間を過ごす夢を見た。猫の時間を人が過ごす夢。ミルクが牟田の母親で、牟田はちゃんと子離れをしていた。場所は牟田の家の弊だった。ミルクの爪が牟田の額に生傷をつけて、牟田の瞳に血が流れた。牟田は泣いた。人みたいに泣いた。瞳に張り詰めた血と涙が頬から落ちて、僅かに潮の匂いがした。静かに人々の雑踏が迫ってくる。血に濡れた涙が種になって、周囲を森に変えていく。その瞬間が焼き付いて目が覚めた。
首輪を付けられて、いくところなどないというのが本音だ。牟田の家にはいけない。あの黒猫に匂いを覚えられている。傷つきに縄張りに踏み込む猫などいない。諦めることができれば、少なくとも生きていくことはできる。では、叶わないと知っていて、違うと知っていて、店長を傷つけている自分は——。
駅から離れているのに、うやうやとした人から発せられる雑音が今日は一段と近く感じる。坊主がいて、店長がいて、牟田が背中を付いてくる。そこにいるんですか。と聞けばずっといるんですと返ってくる。そういう足音だ。時間は違うのに。言葉は伝わらないのに。それらに首輪をつけて、紐をつけて、従えさせる。このリードは店長が無理矢理に作った自分との繋がりだ。
夢で見た森が近い。立ち入り禁止の看板を抜ける。彼らも付いてくる。人の足ではあまり踏み入ることのないような獣道をわざと、選ぶ。それでも付いてくる。進めば進むほどリードの感触を首元に感じる。森の奥へ進むたびに、歪な時間の繋がりが浮かんでくる。
森の開けた場所に出た。ここは夢の世界にもない場所だ。新緑の匂いが近い。春めいたひだまりがここだけに流れてきて、日向の小さな湖があった。
人の足音が消える。声が消える。消える——。
影が背伸びをして、草原の地面に身体を預けている。リードの影だけが静かに伸びて張り詰めた時間を揺らしていた。
するりと首輪が抜ける。湖の雫が自分の身体に集まって静かな明かりになった。夢の世界の森はそこにあった。
昨日猫と人が同じような時間を過ごす夢を見た。猫の時間を人が過ごす夢。ミルクが牟田の母親で、牟田はちゃんと子離れをしていた。場所は牟田の家の弊だった。ミルクの爪が牟田の額に生傷をつけて、牟田の瞳に血が流れた。牟田は泣いた。人みたいに泣いた。瞳に張り詰めた血と涙が頬から落ちて、僅かに潮の匂いがした。静かに人々の雑踏が迫ってくる。血に濡れた涙が種になって、周囲を森に変えていく。その瞬間が焼き付いて目が覚めた。
首輪を付けられて、いくところなどないというのが本音だ。牟田の家にはいけない。あの黒猫に匂いを覚えられている。傷つきに縄張りに踏み込む猫などいない。諦めることができれば、少なくとも生きていくことはできる。では、叶わないと知っていて、違うと知っていて、店長を傷つけている自分は——。
駅から離れているのに、うやうやとした人から発せられる雑音が今日は一段と近く感じる。坊主がいて、店長がいて、牟田が背中を付いてくる。そこにいるんですか。と聞けばずっといるんですと返ってくる。そういう足音だ。時間は違うのに。言葉は伝わらないのに。それらに首輪をつけて、紐をつけて、従えさせる。このリードは店長が無理矢理に作った自分との繋がりだ。
夢で見た森が近い。立ち入り禁止の看板を抜ける。彼らも付いてくる。人の足ではあまり踏み入ることのないような獣道をわざと、選ぶ。それでも付いてくる。進めば進むほどリードの感触を首元に感じる。森の奥へ進むたびに、歪な時間の繋がりが浮かんでくる。
森の開けた場所に出た。ここは夢の世界にもない場所だ。新緑の匂いが近い。春めいたひだまりがここだけに流れてきて、日向の小さな湖があった。
人の足音が消える。声が消える。消える——。
影が背伸びをして、草原の地面に身体を預けている。リードの影だけが静かに伸びて張り詰めた時間を揺らしていた。
するりと首輪が抜ける。湖の雫が自分の身体に集まって静かな明かりになった。夢の世界の森はそこにあった。
執筆者: sanzen | 2023/12/24 16:14
椎名
な、にが起こって……?
(12/26 09:17)
牟田 萌花
ミルク、なんでここに……!?
(12/26 09:20)
牟田 萌花
っ……痛い……?
(12/26 09:22)
椎名
どうしたの?大丈夫?
(12/26 09:23)
牟田 萌花
なんか分かんないんですけど、おでこが急に痛くなって……
痛っ…… (12/26 09:25)
痛っ…… (12/26 09:25)
浄堂
神聖なものを見ました、、、
(12/26 09:26)
浄堂
もう帰りますか?
(12/26 09:26)
牟田 萌花
いや、なんかちょっと動けないんですけどぉ
(12/26 09:27)
椎名
そんな……本当に何が起こって……。
病院……いやでも、まるが…… (12/26 09:28)
病院……いやでも、まるが…… (12/26 09:28)
浄堂
動けないってどういうことですか?
(12/26 09:28)
牟田 萌花
私もよく分からないんですけど、足に草が絡みついて離れないっていうか……
(12/26 09:30)
浄堂
燃やしますか?
(12/26 09:31)
浄堂
煙草吸うのでライター持ってますが
(12/26 09:31)
椎名
燃える燃える燃える
(12/26 09:32)
牟田 萌花
私の足ごと燃えますよ??
(12/26 09:32)
浄堂
あ、
(12/26 09:32)
浄堂
点けちゃった
(12/26 09:32)
牟田 萌花
あれ、ミルク……?
怒ってるの? (12/26 09:32)
怒ってるの? (12/26 09:32)
牟田 萌花
あっつ!?
……くない?? (12/26 09:33)
……くない?? (12/26 09:33)
椎名
緑の……炎……?
(12/26 09:35)
浄堂
銅でも燃えているんですかね?
(12/26 09:36)
浄堂
牟田さん、足に銅でも仕込んでいたんですか?
(12/26 09:36)
椎名
でも、熱くないんですよね?
(12/26 09:36)
牟田 萌花
はい……
むしろ、ちょっと冷たくて気持ちいいような? (12/26 09:37)
むしろ、ちょっと冷たくて気持ちいいような? (12/26 09:37)
椎名
冷たくて気持ちいい?!
(12/26 09:37)
牟田 萌花
ミルク……こっちに来るの?
(12/26 09:39)
牟田 萌花
ミルク、くすぐったいよぉ
(12/26 09:41)
牟田 萌花
あれ、草をほどいてくれてるの?
(12/26 09:41)
椎名
炎も消えてる……
(12/26 09:43)
牟田 萌花
ミルク、ありがとう
なんか、軽くなったねぇ (12/26 09:44)
なんか、軽くなったねぇ (12/26 09:44)
椎名
もうちょっと……優しく抱きしめてあげたら?
(12/26 09:45)
牟田 萌花
あ、ごめんミルク!
謝るからおでこ引っ掻かないでよぉ (12/26 09:46)
謝るからおでこ引っ掻かないでよぉ (12/26 09:46)
牟田 萌花
痛いよぉ、止めてよぉ、お母さん
(12/26 09:50)
椎名
……?
牟田さん? (12/26 09:51)
牟田さん? (12/26 09:51)
椎名
お母さんって?
(12/26 09:52)
牟田 萌花
あれ、私今なんて言いました?
(12/26 09:52)
椎名
え?
(12/26 09:52)
浄堂
そういうことだったんですね、、、
(12/26 09:54)
椎名
とりあえず、何が起きてるのかなんも分からないけど……!
(12/26 09:55)
浄堂
牟田さん、、猫、、お母さん、、
(12/26 09:55)
椎名
まる!!!
(12/26 09:55)
浄堂
なるほど、、、
(12/26 09:55)
浄堂
なるほど、、、
(12/26 09:55)
椎名
まる!!まる、どっかに行かないでくれ!
(12/26 09:55)
浄堂
私は帰りましょうかね、まだマルゲリータいただいてませんし
(12/26 09:56)
牟田 萌花
え、坊主さん!?
(12/26 09:59)
浄堂
ハーレー2号がない、、!
(12/26 10:00)
椎名
まる!!!
この場所がなんなのか分からないけど、俺にとって、ここは初めてまると出会った大切な場所だから……。 (12/26 10:01)
この場所がなんなのか分からないけど、俺にとって、ここは初めてまると出会った大切な場所だから……。 (12/26 10:01)
浄堂
私のハーレーがぁぁぁっぁ
(12/26 10:01)
椎名
俺にはなんもわかんないけど、一緒にカフェに帰ろう……?
(12/26 10:01)
浄堂
まぁ良いですよ、私のハーレー2号を一緒に探してくれるなら
(12/26 10:02)
浄堂
店長も一人がさみしいとかあるんですね、仕方ありませんねぇ
(12/26 10:03)
牟田 萌花
多分坊主さんに言ってませんよ??
(12/26 10:03)
浄堂
なんですと!?
(12/26 10:04)
椎名
まる、おいで、おねがい
(12/26 10:05)
牟田 萌花
ミルクも一緒に行く?
(12/26 10:05)
椎名
おねがい……
俺にとって、まるは、一番大切な友達なんだから…… (12/26 10:06)
俺にとって、まるは、一番大切な友達なんだから…… (12/26 10:06)
浄堂
私にとっても、ハーレーは一番大切な相棒でした
(12/26 10:07)
椎名
ありがとう……
大好きだよ……まる…… (12/26 10:08)
大好きだよ……まる…… (12/26 10:08)
椎名
帰ろうか、一緒に……
(12/26 10:09)
牟田 萌花
ですねぇ
マルちゃんもミルクも帰ってきてくれましたし (12/26 10:10)
マルちゃんもミルクも帰ってきてくれましたし (12/26 10:10)
浄堂
ハッピーエンドの条件はみんなが笑顔で終わることですからね、はっはっはっは
(12/26 10:11)
浄堂
私のハーレー、探してもらっていいですか?
(12/26 10:11)
椎名
………結局、ハーレーも見つからなかったし、なんかすごい光景だったしで……一体なんだったんだろうね?
(12/26 10:13)
牟田 萌花
なんか不思議な体験でしたねぇ
ミルクも帰ってきてくれるなんて…… (12/26 10:15)
ミルクも帰ってきてくれるなんて…… (12/26 10:15)
椎名
まるも戻ってきてくれてよかった……
(12/26 10:16)
牟田 萌花
……あれ、ミルク……?
(12/26 10:17)
牟田 萌花
なんで!? さっきまでここにいたのに!
(12/26 10:17)
椎名
あれ、ミルク……ほんとだ、消えた……?
(12/26 10:18)
浄堂
極楽浄土へいかれたのでしょうか、、私達の教えでは霊魂はありません
しかし、牟田さんの強い思いが引き起こした奇跡だったのかもしれません、、、 (12/26 10:19)
しかし、牟田さんの強い思いが引き起こした奇跡だったのかもしれません、、、 (12/26 10:19)
浄堂
私のハーレー2号とミルクさんに念仏を唱えましょう
(12/26 10:20)
牟田 萌花
ミルク……
もう一度会ってくれたんだねぇ、ありがとう (12/26 10:22)
もう一度会ってくれたんだねぇ、ありがとう (12/26 10:22)
椎名
うん…………。あ、カフェが見えてきた。
(12/26 10:23)
浄堂
いやぁ、今日は大変でした
マルゲリータピザ3枚は食べなければ (12/26 10:24)
マルゲリータピザ3枚は食べなければ (12/26 10:24)
私の前にもう一匹猫がいた。姿形がよく似ている。猫としては華奢で、縄張り争いには向かない。すっとした身体つきで静かな家猫だった。人の気配が遠い。すぐ後ろにいて牟田が頭を抱えている。しかし陽だまりに人影が透けているようなそんなぼんやりとした向こう側にいた。
互いに声を出さないまま、向き合う。声も仕草もわからないので、自身との違いを見つけるのも難しい。
生まれる。誕生日おめでとう。そして死ぬ。死んだ。消える。消え——。なかった。
この店に来た時の記憶が堆積して、隠していた何かを思い出す。生まれる前の記憶だった。「あなたがここに来たから、ミルクが生まれた。だから誕生日おめでとう」
羽根のような柔らかい声がタオルの向こう側から聞こえてきた。ハッピーバースデートゥユー。私は確かにミルクだった。ミルクとして飼われ、純粋な愛情のうちに死んだ。その時の自分では言葉には器用にまとめることができなかった。
死んだ世界には何もなかった。無いという認識がそこにあって無もあった。だからそこからもう一度自分を作った。なんでもう一度猫になろうと思ったのかはわからない。ミルクとして生まれた人生がそんなに幸せだったような気もしない。確かに牟田に拾われたことは幸運だったが、それより前といえば餌にも碌にありつけないような乞食だった。
猫としてやり直すなら、野良猫として生きていける強い身体だろうか。そんなことよりやりたいことがある。どうして牟田はあんなに自身に愛情を向けたのか。それが愛情だと分かったのはそれよりも後のことだった。親から受けるものとは違う無制限の、無量の愛情。それが何なのか知りたい。言葉が必要だ。人間のような細やかなコミュニケーションを聞き分けられる認識能力がいる。
そうしてもう一度私は生まれた。誕生日おめでとう。言葉が分かれば人の愛情の正体が分かると思った。どんな利点があってそうしているのか、どこからその能力を覚えるのか。けれど無理だった。愛情の源には果てがない。そこが水源だと分かってもどこからともなく湧いてきて、また辿っていかないといけない。そしていつの間にか愛情と暴力を取り違えることもある。
後何回生まれ直したら、この温かさに気付けるのだろう。人に触れるたびにそう思う。撫でられる時も、餌を手渡しする時も、そして傷つける時も。やがてミルクは野原の奥に消えた。ぼんやりとしていた人の気配がはっきりとした。
日差しが雲に隠れて、降り注いだ陽だまりが一瞬だけ姿を消す。次に生まれ変わる時は人になろうか。いや、でももう少し猫でいてもいいかもしれない。少なくとも店長に何か愛情めいたものを与えられるまでは。
坊主のなくなった乗り物を探しにこの場所を後にする。
季節はすっかり春だ。
互いに声を出さないまま、向き合う。声も仕草もわからないので、自身との違いを見つけるのも難しい。
生まれる。誕生日おめでとう。そして死ぬ。死んだ。消える。消え——。なかった。
この店に来た時の記憶が堆積して、隠していた何かを思い出す。生まれる前の記憶だった。「あなたがここに来たから、ミルクが生まれた。だから誕生日おめでとう」
羽根のような柔らかい声がタオルの向こう側から聞こえてきた。ハッピーバースデートゥユー。私は確かにミルクだった。ミルクとして飼われ、純粋な愛情のうちに死んだ。その時の自分では言葉には器用にまとめることができなかった。
死んだ世界には何もなかった。無いという認識がそこにあって無もあった。だからそこからもう一度自分を作った。なんでもう一度猫になろうと思ったのかはわからない。ミルクとして生まれた人生がそんなに幸せだったような気もしない。確かに牟田に拾われたことは幸運だったが、それより前といえば餌にも碌にありつけないような乞食だった。
猫としてやり直すなら、野良猫として生きていける強い身体だろうか。そんなことよりやりたいことがある。どうして牟田はあんなに自身に愛情を向けたのか。それが愛情だと分かったのはそれよりも後のことだった。親から受けるものとは違う無制限の、無量の愛情。それが何なのか知りたい。言葉が必要だ。人間のような細やかなコミュニケーションを聞き分けられる認識能力がいる。
そうしてもう一度私は生まれた。誕生日おめでとう。言葉が分かれば人の愛情の正体が分かると思った。どんな利点があってそうしているのか、どこからその能力を覚えるのか。けれど無理だった。愛情の源には果てがない。そこが水源だと分かってもどこからともなく湧いてきて、また辿っていかないといけない。そしていつの間にか愛情と暴力を取り違えることもある。
後何回生まれ直したら、この温かさに気付けるのだろう。人に触れるたびにそう思う。撫でられる時も、餌を手渡しする時も、そして傷つける時も。やがてミルクは野原の奥に消えた。ぼんやりとしていた人の気配がはっきりとした。
日差しが雲に隠れて、降り注いだ陽だまりが一瞬だけ姿を消す。次に生まれ変わる時は人になろうか。いや、でももう少し猫でいてもいいかもしれない。少なくとも店長に何か愛情めいたものを与えられるまでは。
坊主のなくなった乗り物を探しにこの場所を後にする。
季節はすっかり春だ。
執筆者: sanzen | 2023/12/31 16:15
ほらほらぁ (11/20 14:50)
前飼ってた猫みたい (11/20 14:51)
もう、貰っちゃいたいくらい (11/20 14:53)
よく分からないですけど、とにかく幸せを願えばいいんですね! (11/20 14:57)