無題
ピースID: 48
何一つがんばってこなかった怠惰な人生。
田舎でなんとなく高校を卒業して、とりあえずで上京して、ちっちゃい企業でせこせこ働いて、そしたら突然リストラされて。
その矢先にこれだ。
鞄に入れていたエロ本を見られただけならまだ良かった。
さっきまで僕は、百万円を盗んだ容疑者として警察署で拘束されていた。
優しい妻が温かいご飯と一緒に見送ってくれたにも関わらず僕は……ハローワークに行く決意すらできなくて、クビにされた会社へ通う電車に意味もなく揺られるだけだった。
きっとそのバチが当たったんだ。
守るべき存在がいるのに、僕はなにもしなかった。
なにもできなくても、少しでも収入を得るために道端に落ちてる本だって拾った。
けどやっぱり、そんな中途半端じゃ意味は無いんだ。
僕が最初からハローワークに行っていれば、そもそも容疑者にすらならなかった。
全部全部、僕が悪い。
あの後百万円が見つかったかは分からなかったけど、僕は突然開放された。
目を細めて、響くように大きく舌打ちされたけれど。
それでも僕は、今立っている。
暖かくも冷たい、この扉の前に。
この扉が冷たく重く感じるのも、僕のせいなんだけど。
大きく深呼吸してから、ガチャリ、と鍵を差し込んだ。
ゆっくり回して、鍵が開いた感触が手に伝わる。
また息を大きく吸って、口から大きくため息を一つ。
「ただいま」
その後に返ってきたおかえりに、僕は胸を貫かれて涙を飲み込んだ。
田舎でなんとなく高校を卒業して、とりあえずで上京して、ちっちゃい企業でせこせこ働いて、そしたら突然リストラされて。
その矢先にこれだ。
鞄に入れていたエロ本を見られただけならまだ良かった。
さっきまで僕は、百万円を盗んだ容疑者として警察署で拘束されていた。
優しい妻が温かいご飯と一緒に見送ってくれたにも関わらず僕は……ハローワークに行く決意すらできなくて、クビにされた会社へ通う電車に意味もなく揺られるだけだった。
きっとそのバチが当たったんだ。
守るべき存在がいるのに、僕はなにもしなかった。
なにもできなくても、少しでも収入を得るために道端に落ちてる本だって拾った。
けどやっぱり、そんな中途半端じゃ意味は無いんだ。
僕が最初からハローワークに行っていれば、そもそも容疑者にすらならなかった。
全部全部、僕が悪い。
あの後百万円が見つかったかは分からなかったけど、僕は突然開放された。
目を細めて、響くように大きく舌打ちされたけれど。
それでも僕は、今立っている。
暖かくも冷たい、この扉の前に。
この扉が冷たく重く感じるのも、僕のせいなんだけど。
大きく深呼吸してから、ガチャリ、と鍵を差し込んだ。
ゆっくり回して、鍵が開いた感触が手に伝わる。
また息を大きく吸って、口から大きくため息を一つ。
「ただいま」
その後に返ってきたおかえりに、僕は胸を貫かれて涙を飲み込んだ。