リスキーダイス 前編
「放課後、いつもの裏山行こうぜ」
しゅんやが聞き慣れたセリフを言い放つ。
教室内で、しのん、とものりが振り返り、
「今日は何するーー。」
しのんが退屈そうに声を出した。
「まぁそれは行ってから考えようよ」
とものりが冷静に返答した。
しゅん、しのん、とものりのいつもの御一行は校舎の裏手に広がる山へ向かった。
裏山に着いた御一行は、特にすることもない。着いてから決めようと考えていたので当然である。
いつもの定位置に着いた3人はとりあえず辺りを見回す。
前回遊んだ爆竹のゴミが四方八方に散らばっていた。
「もう使い切っちゃったのか」
前回派手に鳴らしてみようと、一箱一気に使ったバカな男しゅんやが呟いた。
「流石に面白かったけど勿体なかったな。」
便乗した男しのんが人ごとかのように返す。
「なんか面白いもの探しに行くか。」
裏山にもちろんお店はあるはずがない。現地調達して遊ぶ。お金はないが時間のある高校生はこのようにして暇を潰す。
3人それぞれ散らばりながら今日の獲物を探している。10分も経たないうちにしゅんやが声を上げた。
「なんか文字書いてある木箱みつけたぞ!」
しゅんやのバカでかい声を聞いて一目散に集まる。
リスキーダイス
木箱にはそう書かれている。
3人ともピンとはきていない。が、こんなにそそられるものは他にもないだろう。恐る恐るしゅんやが箱を開けていく。
鍵の部分がゆるゆるになっていて、思いの外すんなりとあいた。
中には黒いサイコロが一つだけ入っていた。
「何これ、ジュマンジかよ」
「全然違うだろーが、サイコロしか合ってねーよ」
「振ったらコウモリ来るかもじゃん」
などと、大して意味のない会話を続けている二人をよそに、とものりが何かに気づいた。
「このサイコロ、当たりしか書かれてないよ」
20面サイコロというそもそも珍しい形。その面には数字じゃなくて文字が書いてある。
誰かが意図的に作ったとしか考えられないようなサイコロだ。
「全部当たりのサイコロとか意味あんのか」
「ん、いや、一箇所だけハズレって書いてある面もあるぞ」
二十分の一の確率で書かれているハズレの二文字。
当然この意味を理解しているものなど、3人の中にはいない。
とりあえず、暇つぶしのアイテムをゲットした3人は早速振ってみる。
「今日の晩御飯、好物のハンバーグになんねーかな」
出目は当たりを示していた。
冗談半分で呟いて各々帰宅した。
しゅんやは食卓の前で驚愕の事実を目の当たりにする。
目の前に置いてあるメインディッシュはなんとハンバーグだったのだ。
あまりの驚き様に、目の前の妹たちは軽く引いていた。
次の日、偶然を確かめるために3人はあることを結託する。
『今日の国語の提出課題、俺たちだけなしにならないかな。』
出目は当たり。
退屈な授業がそろそろ終わりそうだ。
クラスのみんなが眠そうに授業を受けている中、例の三人は落ち着きがなかった。
「今日の提出課題だが、男子は課題提出しなくていいぞー」
先生の一声でクラス中は騒然となった。
男子たちの歓喜の声と、女子のブーイングの嵐。
そんな中、もちろん例の3人も冷静ではいなかった。
「これ、マジで願いが叶うんじゃね」
100万円が欲しいと願えば、いつかに提出した課題が大賞に選ばれて、しのんの元に100万円が。
昼に教室でピザを食べたいと願えば、陽気なALTの先生がピザを買ってきた。
3人は有頂天になり、次に何を願うか決めていた。
1日で何度も不可解なことが起きる男子たちに、女子が目を光らせ始めた。
その日の放課後、テンションが上がった3人が帰ろうとするとある声が聞こえてきた。
「今日の男子たちなんかおかしくない」
「いつも変だけど今日は一段とキモい感じ」
「そうかなー」
ひま、ももな、はなの3人が男子の元に近づいてくる。
この3人は性格が違いすぎるのに仲良くしているのは男子の間にある謎だ。
めんどくさい女子に絡ませてしまった3人。