作品10

投稿作品を掲載いたします。

Thema:優柔不断
Title:バトル

扉が開いて鼓膜が一気にピコピコがやがや支配される。
はっきりとした機械音が何重にも重なればそれは、ぼんわりと耳を刺激しはじめてくる。
震える指先で薄汚れた100円玉を1枚財布から抜きとる。
その丸い表面から伝わるほんの小さな冷たさに全身から汗がふきでてくる。
全体重がコインにのったとき、そのすべてを授けるように投入口へカラリと送りこむ。
ふっと力が抜けて唾を1束のみこむ。
右方向です。
左方向です。
脳内ナビが誘導を開始。
目的地です。
ここに命をかける。
ばこんとOKボタンを押せば、ガラス越しのお目当ては両わきをはさまれて必ずや僕の足元の出口から顔を出すはずだ。
あれ、、、
おかしいぞ、、、
ちがうそんなはずはないのに、、、
財布がどんどん軽くなる。
山積みになったガラスケースの中は少しずつその山を崩していく。
お前ではだめだ抱き上げてやるには重すぎる。
お前でもだめだひっぱり落とすには体の向きが悪すぎる。
あれー、、、あれ、、、
財布がどんどん軽くなる。
山積みになったガラスケースの中は少しずつその山を崩していく。
結局、今回の出費金額は5千弱。
これからバイトだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です