2025年 1月16日
17:30
「はるきんち燃えたってマジ?」
「うん……マジだよ」
えー! と周りにいたやつらが一斉に叫んだ。
とんでもない声量に、部屋中の視線がここに集まってくる。慌ててシーッ! シーッ! とお互いに言い合って、ダンゴムシみたいに部屋の隅っこに固まった。
火曜水曜はずっと家にいたから、学童に来るのは、先週の金曜日以来。ぼくんちが燃えたという話はここにもきちんと広まっていたようで、自由時間になるなり、ぼくは大勢のインタビュアーに捕まってしまった(もちろん、学校でも登校してすぐに同じような目に遭っている)。
「じゃあ、今どこに住んでんの?」
「野宿? 野宿?」
「野宿じゃねーし。おじいちゃんの家だよ」
「へ〜」
「教科書とか全部燃えたの?」
「うん。宿題も燃えた……ゲームも」
「え〜……」
「かわいそ……」
「…………」
「…………」
ちょっとだけ気まずい無言。
「別に気ぃ遣わなくていいよ」と言おうとしたとき、急に、五年生のりょうたが立ち上がって、
「よし、じゃあ……ババ抜きしようぜ!」
と言った。すぐに、他のやつらも「賛成!」「賛成!」とみんな立ち上がって、次々オモチャ置き場に駆けていく。気まずい空気も、あっという間に散っていく。
りょうたの方を見ると、「心配すんな」とでも言いたげな顔で、ぼくのことを見ていた__本当にかっこいいやつ!
りょうたと肩を組んで、ぼくらもみんなのいるテーブルに向かう。