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なんでみんな無視するの。 この疑問が後々、大ごとになるとは思わなかった。 ハロウィンのピーク、22:00過ぎにそれは現れた。落武者みたいな格好に刀を携えてマンホールから出てきたように見えた。みんなで集まっている時に突然に、だ。戸惑いを隠せない俺とは裏腹に、誰もそれに突っ込もうとしない。それどころか、俺以外のやつには見えていないのではないかと思うぐらい誰も何も言わない。それは、一種の呪いや妖怪かなんかなのではと俺が思い始めていたら、一人の女子大生と思われる子が一言、「あのモヤなに?」とボソッといった。一体あれが何を指しているのか、分からない。分からないはずだが、俺にはわかる。あれが指しているのは間違いなく落武者のことだ。その一言が耳に入ったのか、落武者は、カオナシの言うような「あっ…」という発言と共に女子大生の方向へと歩みを進めた。モヤみたいに漂うな感じに半透明の姿はまさしく幽霊そのものだった。落武者が歩みを進めるたびに、背中に続々とした悪寒が漂う。こいつを誰かに近づかせてはいけない。それを本能的に感じ取った俺はそいつを止めようとビビり散らかす心とは裏腹の行動をしてしまった。だんだんと距離が近づく。近づけば近づくほどそいつの奇妙さが際立った。半透明で、浮いているようにも見える。怖いという感情すら出てこないほど私の心はビビってる。もうすぐで追いついてしまう。しかし、女子大生は叫びそそくさと逃げ出していった。自分の中の恐怖心と安堵心で気持ちが割れている。もちろん、関わらなくていいなら関わらないし、出過ぎた真似をしようとしてしまったと仲間のところに戻ろうとした。だがしかし、落武者に夢中で仲間はみんないなくなっていた。最近無視が多いなと思っていたけれど、置いていかれるとは思ってなかったからとても驚いた。そんな戸惑いを見せていたら、ふと視線にさっきの落武者が映った。彼はおびただしい人に写真を撮られたいた。それをみて一言「まじかよ」戸惑いが隠せなかった。彼はどうやら、とてもクオリティが高いコスプレということになっているらしい。まぁそうだよね、どっからどうみても落武者だし、マンホールから出てきたように見えたのは俺だけなわけだし。まぁすごいコスプレということで仲間を探しに行こうかな。渋谷の喧騒とは裏腹に俺の心は凪いでいた。少し歩いたところにさっきの女子大生がいる。カクテルパーティ効果と言わんばかりに女子大生の「モヤまたきた。」という言葉が聞こえてきた。モヤって落武者のことじゃなかったんだなーと俺は思いながら、人を掻い潜り前へと進む。こんな大勢の人にもみくちゃにされるくらいならくるんじゃなかったなーと後悔が頭によぎるが、それでもみんなといるのは楽しいからきてしまった。楽しいだろうって思っているだけなのかな、現に今置いてかれてるしと不貞腐れた感情も見せる僕の目には、仲間と思われるみんなの姿があった。やっと見つけたと嬉しくなった反面やっぱり置いて行かせたことに腹が立って急足で近づく。「なんで置いてったんだよ」冗談混じりに聞こえるように少し半笑いで問いかけた。「あの子可愛くない?」一人がいった。「どれどれ?」と間髪入れずにもう一人が聞いている。「あれ」さっきの一人が指を刺してみんなで指の先の方を見てる。「おい!そんなことより無視するなよ」俺は余計笑った表情で問いかけた。不満そうな表情を見せたら嫌われちゃうかもしれないし、冗談ぐらいの感じで話せばいいかと思っていたけどだんだん腹が立つ。なんで無視をするんだろう。脳裏に二つの文字が浮かぶ「モヤ」。「モヤってモヤ?」点と点が線でつながっていく感覚がわかる気がしてきた。もしかして無視されてる理由は、俺が…
@NihonUniversity College of Art