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+青菫
マンホールから人がこっちを見ている。 何を言っているかわからないとは思うのだが、事実である。 「え、何やこれ」 困惑した。それはもう思いっきり。 渋谷のハロウィーンってこんな感じなんやろか。友人に誘われてほぼ強制的に引きずられてきたんやけど、なんか、やっぱ来おへんかったらよかった気ぃするわ。うん。 しかもなんかこっち見とるんやけど。え、ほんま関わり合いになりとうないんやけど。おい、警察。警察官おるやろ。不審者さっさと捕まえぇや。てかうちは仮装特にしてへんのやけど。 「え、こわ…」 これあれか、うちがなんかアクション起こさんとなんも始まらんやつか。えーーーー嫌やー、ほんま嫌や。絶対に面倒ごとの気配しかせぇへんやんけ、嫌やーーーー。 「………あ、あー。あんさん、どないしたん?そこおってえぇとこちゃうやろ」 喋らない。いや、喋れや。頼むから。ほんま喋りや。人間が他の生物と異なるところは言語能力ちゃうんか。意思疎通ができる人おらへんのか。 「おーい、耳聞こえとる?」 「…………あぁ」 あ、聞こえとった。 「どこから来たん?」 「わからない」 「名前は?」 「わからない」 「どこぞの子猫かアンタ」 うちは犬のおまわりさんちゃうねんぞ。ほんま勘弁してや。 「子猫」 「比喩や」 「…おれは、どうしたらいい」 「知るかー!!!ほんま知らへんわ!」 警察ー!おい警察、こいつ保護せぇよ!!!つかアイツどこ行きよった!?うちだけ放置して楽しんでんちゃうぞいてこましたろか!? 「…………警察には連れてったるから…うん。まぁ、もうえぇ大人やろ。どうにかなるやろ…多分。うち知らん」 ほんま、もう、二度と参加せぇへんからな!
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