第五位 死にがいを求めて生きているの

●あらすじ

智也と雄介は、性格は正反対だが仲が良く、大学までほぼ同じ進路をたどる。しかし今、智也は病院で植物状態のまま眠り続けている。雄介は毎日欠かさず智事件が。その全貌が彼らと関係のある人々によって、明らかになっていく。正反対の智也と雄介、二人を結びつけるのは友情か、それとも・・・。  

●批評

幼少時代からの智也と雄介の様子が、章が替わるごとに視点人物を替え、第三者の目を通して描かれていく。視点人物 1 人 1 人の葛藤もしっかりと描かれている。  

最初と最後で、智也と雄介の関係性が 180 度変わって見える。美しい友情の話かと思いきや、ゾワっとするような真実があった。  

対立することを奪われた時代であった平成。自己実現のために苦悩する若者たちの自滅と祈りの物語。色々な価値観が溢れるなか、どのような指標をもって生きていくべきか、私たちに教えてくれる。