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 本サイトの主催者楊逸です。作家として小説を書く傍ら、日芸で文芸創作を教えています。

 一人の創作者として日ごろ、ネットの波に呑みこまれそうになりながらも思うのです --「家に籠って一人で孤独を堪えつつ創作に耽る」という「古き良き時代」にいつまでしがみついて生き残れるのか、と。

 小説あるいは文学。これまでに少しだけ、どこか孤高で近寄りがたいと感じる人が少なからずいるように思います。それもそのはず。なぜならばほとんどの文学作品は、その作家が人間性や心と向き合い、いろんな壁にぶつかりながら、傷だらけの心を裸にして、己の人生。己の想い。己の哲学。……夜明け前の、真暗闇の中で己の奥底から込み上げた熱い諸々を、物語に織り込んで読者にお伝えしょうと必死に書かれたものだからです。

 それがわかりづらかったり読みにくかったり、また無表情の文字を目で追うには時間がかかって、漫画や動画作品に比べ手軽でなかったりするかもしれません。テレビや映画いに加え電子媒体が目覚ましく進んだ今、本離れしてしまう人が急増するのもそのためなのでしょ。

 これまでの100年間、文学は実は、世界のどの国でも人々とりわけ大学生中心とする若者たちを惹きつけて離さないというほどの魔物的な存在であったことを思い出すと寂しくもなります。その時代をもう一度と祈りつつも、かといって環境として日々変幻し多様化する新しい時代に、活字だけでは追いかけることの難しさも感じてきます。

 自分たちの力で文学創作の道を拓いていきたい。その道は? 一人でじっと考えてもう4年余り経ちます。アクションを起こさなければ何も始まらないことを悟りました。幸い私のそんな思いに同調する、創作に目指す学生有志が大勢いました。

「みなが同じアパートに住んでいつでも文学を語り合えたら」の発想で、未来形の文芸誌(アパート形式『トゥヌーヴガーデン』)を目指したいと考えました。そこで、インターネットに精通する山本守和先生(サイト管理人)のご協力のもと実験する運びとなりました。

 マンション管理人に、日ごろ「たくさん読んでたくさん書く」という大学生活を過ごし、学内外問わず、様々な文学賞に投稿し一定の評価も得ている、しっかり者のロマノフがつとめます。

 また学外からは、編集者として長いキャリアを持つ花崎真也さんに顧問としてご参加いただき、物書きの悩みでもそうでない悩みも、何でも優しく相談に乗ってくださることと思います。

 ここで実験する文芸誌の未来形は、わかりやすく簡約すれば、LOLという三つのポイントがあります。

1、L(Live) ‐‐創作過程が見えるという意味です。創作は、一人で暗い書斎で書くのも良いのだが、オンラインで同好と同時に、あるいはコラボレーションで行うのも楽しいではありませんか。時に横やりが入ることもあるかもしれません。それで物語が変わって面白くなるって可能性も……

2、O(One⁺) ‐‐皆参加型。このオンライン文芸誌の「入居者」同士、あるいはビジターの飛び入り参加も可能なので、ぱっと思いついた破天荒なアイディアでも、力のある同好がいれば作品にする可能性が出て来ますよね……

3、L(Lego) ‐‐細分化、組合せ自由の意でもあります。同じ文章を、パーツ別に組み合わせて物語の展開を変えます。創作の限界をどこまで破ることが可能か……

 あるいは、この文芸誌サイト自体は、展開の読めない小説にもなりうるではないでしょうか。参加者のみなさんは、いずれも登場人物で、各々の活動次第で、作中での役柄が決まってきます。そのようになれば……、と思うとわくわくしてきました。

 文学の、読者はもちろん、創作者ないし創作参加者になりたいという方、とにかく遊びにいらしてください。